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各地で生まれる第三者への経営継承
キュウリ部門を継承し、順調に拡大
北海道F市
水稲やキュウリなどを経営していたAさん(68)は、3人の娘が嫁いで後継ぎがおらず、年金が出たら農業を辞めようと考えていました。
H市出身のYさん(30)は大学卒業後の旅行で農業のアルバイトをしたことがきっかけで就農を志し、キュウリ農家で研修しましたが農地が確保できずにいました。
そこで、北海道の新規就農サポートセンターがAさんにYさんを紹介しました。Yさんは団地から農場に通って2年間研修後、07年4月にAさんからハウス付きの農地を借りて独立しました。Aさんは稲作部門は続けていますが、作業などはお互いに助け合っています。YさんはAさんの指導で初年度から黒字でスタートし、08年は増設して規模拡大しました。
稲作経営を法人化し、数年後に代表権を移譲
滋賀県K町
借地で稲作を規模拡大してきたKさん(74)は後継者がいないため、友人の娘であるSさん(28)を迎えました。継承をスムーズにするために法人化。社名にはSさんの名前を付けました。Sさんを取締役にし、1〜2年のうちに代表権を譲る計画です。
SさんがKさんから「後継者にならないか」といわれたのは大学3年の時。工学部でしたが迷わず就農を決意。アパートを引き払い、農場の手伝い(研修)をしながら車で片道90分の道のりを通って大学も卒業しました。
SさんはKさんにとって「実の娘同様」の存在ですが、指導は厳しく、「大切な財産(農地)を任せてもらっているのだから」と人間関係の大切さも教えています。
現在は実質的に経営を担っているSさんの手腕は地域の誰もが認めるところ。従業員を2人雇用し、経営規模は水稲53ha、小麦30haと順調に規模拡大。黒字経営を続けています。
自治会所有の観光ブドウ園を継承、顧客もあり好スタート
滋賀県R町
Mさん(33)は大学卒業後就職。4年目から週末を利用して軟弱野菜農家での研修を受け、翌年には退職して農家でアルバイト研修をしていました。
アルバイトをしながら独立就農のための農地を探していましたが、経営計画に合う農地を確保できずにいました。そんなとき、普及センターからMさんの隣町であるR町K地区の自治会が所有する観光ブドウ園(2.4ha)の経営者がやめるので、あとを引き受けてみないかと打診されました。河川の改修工事で生まれた土地で、これまで何組かが経営してきた園地ですが、近くに観光施設もあるため固定客もあり、採算が見込める状況でした。
条件は、観光ブドウ園として営業すること、賃借は10年契約で5年ごとに経営内容を報告すること、農地・施設などの賃借料は年27万5000円・・というもの。当時26歳のMさんは果樹の研修は受けていませんでしたが、迷わず契約しました。
園内をバリアフリー化、「環境こだわり作物」で新規需要を開拓
就農に当たって用意した資金は、親から借りた300万円。オープンまでに必要な人件費でした。肥料代などは後払いのため、オープン後の入場料収入が運転資金になりました。
栽培技術は普及センターが細かく指導。「細かな失敗はたくさん」(Mさん)あり、「個々の樹木の管理より大面積の管理が大変」(同)でしたが、無事開園。顧客リストも帳簿もない状態でスタートしましたが、めずらしい形の経営継承がメディアで取り上げられてPRになり、初年度から1000万円を売り上げて黒字スタートを切ることができました(06年は1500万円、07年1400万円)。
6年目を迎えた08年には、自分で植えた更新園からの収穫も始まります。余剰分はワインに加工。新たに洋ナシを植えるなど、「周年営業」に向けて新たな展開も進めています。観光バスのルートになり、ホームページの効果も上々。県の「環境こだわり農産物」の認定を受け、身障者などのデイ・サービスとして利用が増えているため、園内のバリアフリー化を進めています。