地球温暖化と休眠打破 生長調節剤の力が必要に

 休眠打破を目的に使用される一般名をシアナミド、商品名をCX−10カーバイド液剤と呼ぶ生長調節剤がある。休眠期の11〜1月ごろ、施設栽培のブドウの結果母枝に10〜20倍の液を10アール当たり150〜200リットル、年1回だけ散布または塗布する。こうすることで、発芽が早まってそろい、品質の良いブドウが安定生産できる。処理しない場合は発芽が遅れ、そろいも良くない。現在、オウトウやニホンナシなどのハウス栽培で実用化の検討が行われている。

 ハウス栽培では、加温して施設内の気温を高めるが、樹が一定期間低温にあい、休眠が打破されていれば容易に発芽するが、休眠から目覚めていない場合はちらほらと発芽するだけで、安定した生産に結びつかない。ハウス内と同じようなことが自然界で起こるとどうなるだろうか。

 地球が温暖化していると言われるようになって久しい。それによって、ミカン類の栽培が東北地方でも可能になるのではないかと予想をする人もいる。地球が温暖化して、亜熱帯果樹が東北地方でも栽培できるようになったとしても、安心は出来ない。気象の変動幅が大きくなるから、花が咲く時期に寒さが頻繁に襲来すれば、ほとんど毎年、果実の生産は望めない。リンゴやナシなどの温帯果樹ではどうだろうか。一般に温帯果樹では、最初に述べたブドウのように、一定時間低温にあわないと発芽しない。

 ブラジルの南の方、サンタカタリナ州にはリンゴやナシなどの栽培が可能な地域がある。しかし、気温が高めで、果樹の休眠に必要な低温要求量が満たされ難く、たくさんある芽の内のわずかな芽しか発芽しない場合が多い。ハウス栽培に似た状況が自然界で起こっていることになる。しかし、休眠打破剤を散布することにより発芽がそろい、生産量も増えるという。

 地球温暖化が進むと、加温ハウス栽培のブドウのように、休眠打破剤の使用が必須になるのかも知れない。

(農業技術研究機構果樹研究所・鈴木邦彦)

(2002/02/15)


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