連載 「BSEパニックの検証」 第2回 リスク回避と負の遺産

 昨年9月10日、日本で初めての牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認され、農水省は初期段階での報道発表の不手際や、感染を防げなかったこと、96年から実施している反すう動物由来の肉骨粉の牛への給与禁止の農家段階での不徹底などを厳しく批判された。だが、英国が2年以上かかってつくりあげた対策を上回る徹底した対策をわずかの期間で確立しえたことは、専門家からは高く評価されている。

 安全な牛肉だけが流通する仕組みはつくられたが、過去の負の遺産との闘いは残されている。今後もBSE感染牛が発生する可能性と、過去感染牛を食べたかもしれないという、消費者の漠然とした不安だ。

 この点について、「日本は大きな被害を出した英国の経験、データを生かせ」と話すのが、「感染症論から見たBSE」を研究している東京大学大学院農学生命科学研究科の吉川泰弘教授だ。

 牛から人への感染については、英国では01年11月時点で111人のvCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)患者が発生しているが、吉川教授は約75万頭の感染牛が食用に回されたと推計している。英国での感染率、MRMや脳を食べるという食習慣などを考慮すれば、仮に日本では汚染された食品を食べたとしても、vCJDを発症する可能性は限りなくゼロに近いと断言する。

 吉川教授は「BSEは不思議な病気ではない。感染症としての対策をきちんと取ればいずれはなくなる」と冷静な対応を呼びかける。

(2002/03/08)


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