連載企画『農地制度の見直し』
老後の安心 のうねんで 【2】北海道・標津町

女性・後継者が一気に加入

 標津町は、新農業者年金制度になって女性と後継者の加入が一気に進んだ。加入要件が緩和されたため、旧制度から移行した夫が加入を進めた。年金に関心が薄かった若者にも、「新制度は良い制度だし、仕組みも分かりやすい」と好評だ。

 大規模酪農地帯である北海道根室管内の一角を占める標津町は、好調な乳価を背景に酪農の規模拡大が進んでいる。後継者がいなくて離農する農家もあるが、フリーストール牛舎、ミルキングパーラーシステムの導入など大規模・省力化が進んでいる。

 営農の計画性は人生設計にも生かされている。旧農業者年金には、専業農家の多くを占める163人が加入していた。

 新制度には、121人が移行した。旧制度への不信などから移行しなかった人を除き、すでに専業農家のほとんどが加入しているが、新たに60人が加入した。専業農家数が185戸(03年)の町で、181人の加入者がいる。

 新規加入者のうち、女性が6割の36人を占める。男女関係なく誰でも加入できるようになったことから、夫の理解もあり、農業委員会(栗栖敏博会長)が積極的に勧めて一気に加入が進んだ。

 男性の新規加入者の多くは後継者だ。農業委員の田中陽一さん(45)は、「新制度は分かりやすく、若い人も入りやすくなった」という。妻の佐代さん(39)にも加入を勧めた。所得税の控除にメリットを感じ、保険料は田中さんが月額3万円、佐代さんが2万円にした。青色申告をしているが、結果がよかったため来年は5万円ずつに増やすつもりだ。

 新規加入は、農業委員と事務局の2人3脚による戸別訪問の成果だ。「あそこの奥さんは感心がありそう」「あそこの家は息子が帰ってきてる」といった農業委員の情報を基に、事務局職員が訪問して回った。1軒1軒が離れた農村地帯のため、自動車で1日に80キロ走ることもあったという。

 加入を勧めてみると、関心はあった、入ろうかとは思っていたという人が多かった。高橋政一事務局長とともに、町内を走り回る中野裕子係長は、「そのうちにと思っていると加入の機会を逃してしまう。ぜひ入りましょう、と背中を押してあげることが大事」と話す。農業委員会を訪れた人には必ず加入を勧め、その場で手続きをしたこともある。

 農業委員会会長代理の五百木(いおき)功さん(53)は、「夫婦、後継者の複数加入の家が増えている。入ってもらいたい人は、まだたくさんいる」と、加入推進の必要性を訴える。

(2003/11/28)


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