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外に向かった農委会へ
――食料・農業・農村基本計画の見直し議論が始まりました。経営所得安定対策、担い手・農地制度などいずれも農業委員会に深くかかわります。
松岡代理 農業生産をどうとらえるかが、大事だ。世界の穀物生産は19〜20億トン、02、03年度は消費に対して9,000万トンも不足している。特に、温暖化の影響で気温が1度上がると穀物生産は10%減るといわれており、環境と食料が大きな問題になってくる。基本計画も、こうした問題を踏まえて議論しなければならない。まずは、自給率だ。前回の議論の責任者だったが、政策としての実現はそう簡単にはいかない。再度、この議論をしないといけない。目標をどう設定するかが大きなテーマだ。設定されれば目標に向けて、生産の担い手がさらに大きなテーマになってくる。
――担い手が、一番の問題ですか。
松岡代理 農村全体が衰退している現状で、担い手が育っていないことは深刻だ。一方、都市住民には農業に親しみたいという要望が強い。新基本法をつくる時、私は市民農園制度の充実を強調した。都会の人がどう農業や農村社会と関係を持ってもらうか、教育面も含めて大きなテーマだ。
――まず、国民全体から農業・農村をどう認識・評価してもらい、どう位置付けるかですね。
松岡代理 農業・農村の持つ多面的機能、農山漁村が国民生活全般とかかわり、地域全体に果たす機能・役割をキチンと目標化して、施策を講じる必要がある。生産の問題だけでは国民全体の理解や支持も得られない。もう一つ、農業に夢とか発展性を持たせたい。どんどん外国産に押されて、国内生産が阻害されていてはいけない。食の安全性問題を考えると、わが国の農産物は安全性、品質、味などで優位に立っているので、輸出促進も図るべきだ。品種改良など農業技術は世界に冠たるものだし、知的所有権を含めていろいろな取り組みも基本計画で議論してもらいたい。
――多くの農政課題がある中で、担い手・農地問題を強調されていますが。
松岡代理 担い手問題と不耕作地、農地制度はリンクする。国民全体がどうかかわりえる仕組みにするか、農業委員会が大きな役割を果たさなくてはいけないし、果たせると思う。都市と農村が対立構図になってはいけない。市民農園制度を発展させた形で、都市住民が「準農業者」とも呼べる様な位置づけで、農業に参画しても良いのではないか。一定の条件、要件のもとで簡単に農業者になれるように工夫できないだろうか。都市住民も農業の担い手の一つになれば、不耕作地の問題も解消されてくる。都市と農村が農業を通じてギュッと一体化し、緩衝地帯みたいな地域で生産や楽しみにも寄与できる。
――これから農地利用、農地運営のシステムを、農委系統で提案すべきということですか。
松岡代理 実は、農業者間の流動化だけで対応できない部分も出てきている。高齢化もさらに進む。そこで、都市住民の思いや要求を受け止めて、農業者も出し合うものは出し合ってプラスにする。農業委員会組織がそういう機能を果たしても良い。内部調整だけではなく、外部との調整など新たな役割が出てくる。そこが、行革論議の中でも問われているところではないか。スリム化とか効率化ももちろん大事だが、数字だけを論じると本質論からはずれてしまう。都会と農村をどう結ぶのか、それぞれの地域をどう発展させていくかを見定めた農地運営などは、世代間の調整を含めて必要だ。外に向かった「“新生”農業委員会」に期待する。
(2004/02/13)
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