鳥インフルエンザ--構造改革の優等生に支援を

 鳥インフルエンザは、史上最低の低卵価にあえぐ養鶏業界を最悪の事態に追い込んだ。それでなくとも卵は、物価の優等生ともてはやされているが、内実は熾烈(しれつ)なコスト競争が生み出したものだ。いまの卵価水準では、1羽当たり年間800〜1,000円の赤字を出しており、昨年から倒産・廃業する生産者が相次いでいる。

 鳥インフルエンザが発生すれば、農場すべての鶏を処分しなければならず、倒産の引き金になりかねない。5〜30キロ圏内で発生しても、卵や鶏の移動制限がかかり、少なくとも3週間は出荷できなくなる。その間もエサは与えなければならず、卵も産み続ける。ふんの処理もできない。移動制限が解かれても、いったん奪われた出荷先を取り返すのは容易ではない。

 消費の減退も心配だ。人に鳥インフルエンザが感染したという例はこれまで報告されていないにもかかわらず、発生を契機に消費が落ち込んでおり、卵価をさらに引き下げている。

 養鶏業界は、わが国の農業の中では特異な道を歩んできた。早くから施設化が進み、企業的な経営でなければ生き残れなかった。農業保護とは縁が薄く、むしろ国際競争力を高めるために、コストアップ要因である飼料やワクチン、畜舎建築などにかかわる各種規制の緩和を求めてきた。まさに食料・農業・農村基本法が求める構造改革の優等生だが、いま生死の瀬戸際に立たされ、悲鳴を上げている。

 このような事態に対し、政府・与党は、緊急融資やウィンドレス鶏舎への助成などを打ち出した。一応の評価はできるが、もう一歩踏み込んで、日本養鶏協会が生産者の拠出で創設した「鳥インフルエンザ生産者互助基金」にも、豚や牛と同じように生産者積立金と同額の国庫補助を拠出すべきだ。

 さらに、鳥インフルエンザのまん延を防止するため、生産者が求めているワクチンの使用も前向きに検討すべきではないか。農水省は、接種により発症は防げるが、感染そのものは防げないとして早期発見・摘発淘汰(とうた)で対応している。だが、もし養鶏業の密集地帯で発生すれば、これまでのような封じ込め措置ではとても抑えきれない。使用の是非について、内閣府の食品安全委員会は、4月末までに結論を出すとしているが、ワクチンを適切に使えば鶏の卵や肉の安全に影響はないとしている。同委員会による技術的な検討結果を待たなければならないが、生産者がおかれた苦しい立場に、関係者は十分に配慮して欲しい。

(2004/03/19)


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