なぜユニクロは農産物事業から撤退したのか

 02年10月に食品宅配事業に参入した大手衣料ブランド「ユニクロ」を経営する(株)ファーストリテイリング(柳井正会長)は3月、子会社の野菜販売店「スキップ」((株)エフアール・フーズ、柚木治社長)の事業撤退を決めた。ユニクロは中国での低コスト・大量生産により異例の急成長を遂げたが、スキップでは「美味しく安全な食べ物を買いやすい価格で」をテーマに国産物を扱っていた。食品宅配市場が成長する中、売上げ目標1,000億円を掲げた急成長企業の参入に、農業者や食品流通業界は期待や脅威など様々な反応があったが、営業開始後1年半を待たずに撤退を余儀なくされた。同社はどのような路線で野菜販売事業に挑み、なぜ撤退へ追い込まれたのか。

 スキップの販売形態は主にインターネットなどを通じたIT通販・会員宅配・店舗の3ルート。売り上げの9割は通販と宅配で占めていた。

 野菜、果物、コメ、牛乳など約100品目を扱い、全国約600戸の生産者と契約していた。営業開始後8か月の昨年6月時点で、売り上げは見込みの半分の約6億円にとどまり、経常損益は約9億円の赤字だった。

 採算が合わなかった率直な要因を柚木社長は、「通信販売では1件あたりの購買単価、頻度が伸びなかった。また、店舗では一般のワンストップショップ(「今週の言葉」参照)に比べ集客力が低かった」と話す。

 会員数は、ピーク時で1万3,000人と駆け出しは順調で、ネット通販利用者は累計7万4,000人と他社に引けを取らない。単価が低いのは、「永田農法」による栽培の手間、作物検査のコストで通常より価格が2割〜2倍高かった影響などを、柚木社長は挙げている。

(2004/06/11)


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