5年で飼養頭数倍に--永嶋繁さん(栃木・市貝町)

 栃木県市貝町の永嶋繁さん(50)の酪農経営は今年3月までの5年間に、成牛ベースで130頭から240頭へとほぼ倍増、育成牛も70頭から110頭に増えた。県農業振興公社が施設費などを助成する事業の要件が成牛200頭規模だったため、飼養頭数の増加に全力をあげたが、「一方で、乳量拡大に腐心した5年間でもあった」と振り返る。

 04年の総乳量は1,700トン。5年前の1,100トンから大幅に増加しており、今年は1,900トンに達する見込みという。

 乳量増加のために永嶋さんが取り組んだのが、分離搾乳の徹底だ。公社の事業で新設したフリーバーン牛舎、ミルキングパーラーなどは、問題のない健康な牛専用とし、別に自己資金で病畜専用の施設も設けた。乾乳中、分娩直後、あるいは脚部不安などの問題牛は分離され、永嶋さん自身が管理に当たる。これによって牧場内の衛生管理が徹底し、乳質の向上にもつながっている。パソコンを使った個体ごとの乳量変化を把握し、激変すれば牛に問題が生じている証拠であり、直ちに病畜棟に移される。

 繁殖面での工夫では、発情状態を把握するため、1頭ごとに万歩計を取り付けている。発情すれば牛の歩速は高まり、歩数も増加する。こうしたデータが時間ごとに電波でパソコンに発信される仕掛け。平均400日で1産を守りながら、1頭当たり3産を確実にするのが当面の目標だ。

 哺育(ほいく)にも力を入れている。担当するのは妻の志保子さん(45)。初期成育段階で通常の2倍のミルクを与える強化哺乳を行う。ミルクはタンパク質を上げ、脂肪分を抑えている。

 このほか永嶋さんが目指しているのが飼料自給率の向上。現在も30%を超えているが、40%まで引き上げたいと話す。所有地14ヘクタールではイタリアンライグラスと麦の混合、及びトウモロコシの年2作で、さらに3ヘクタールの借地でトウモロコシを作付けている。畑地には、自家産の完熟堆肥を投入する。

 労働力は夫妻の他に常時雇用が2人。これらに実習生2人と中国からの研修生1人が加わる。

 北海道の帯広畜産大に学ぶ長男・俊太郎さん(20)の就農を視野に、いま永嶋さんが検討しているのが経営の法人化だ。「現行の経営改善計画期間中には……」としているが、大切にしたいのは俊太郎さんの意向。「帰郷した時に、じっくりと話し合いますよ」と表情も明るい。

(2005/08/26)


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