家畜も大喜び「エコフィード」--食品残さをリサイクル飼料に

 食品工場などから発生する食品残さを利用したリサイクル飼料である、「エコフィード」への取り組みが各地で広がっている。資源の有効活用と飼料自給率の向上を目指すもので、飼料としての効果も高く、農水省も積極的に推進している。食品残さは、飲食業や家庭から出る残飯と違い、内容や栄養価が明らかで、つまようじなどの異物も混入しにくく、エコフィードとしての再利用に期待が高まっている。

 大阪府堺市などで肥育牛160頭を経営する原野牧場の原野祥次さん(51)は、梅酒をつくる際に漬けた梅を飼料として牛に与えている。1頭当たり1日に約2キロ(飼料全体の1〜2割)を給餌。漬け梅を食べて育った牛は「ウメビーフ」のブランドで出荷。消費者の反応は、「おいしい」「脂肪があっさりしている」などと好評だ。

 「漬け梅飼料」は、チョーヤ梅酒(大阪府羽曳野市)が、工場から出る漬け梅を再利用できないかと考え、99年に大阪府立農林技術センター(現在は食とみどりの総合技術センター)に相談。共同で研究を始め、加工せず、そのまま飼料として活用出来るようにした。チョーヤ梅酒は、年間約100トンの漬け梅を大阪ウメビーフ協議会の会員農家に、1キロ3円で販売している。現在、4農家7牧場の約600頭に給餌、05年度には160頭の「ウメビーフ」が出荷された。

 焼酎の生産が盛んな南九州では、年間約70万トンの焼酎カスが産廃として処理されている。鹿児島県溝辺町で母豚750頭の一貫経営をしている(有)ひこちゃん牧場の間和彦代表はそこに目を付け、05年7月から配合飼料と焼酎カスをおおむね1対1の割合で混ぜて与えることで品質向上とコストダウンを図っている。

 JA全農えひめは、JAグループ愛媛県産系統銘柄豚「ふれ愛・媛ポーク」の肥育に、ミカンの皮などの残さを利用している。JA系の(株)えひめ飲料松山工場が、ジュースを製造した後の残さを乾燥処理してJA系統の飼料会社に1キロ10円で販売。飼料会社は配合飼料と混ぜ、約50戸の養豚農家の指定飼料としている。年間2万トン発生する残さのうち、3,300トンが再利用されている。

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所では、茨城の特産品である納豆残さのエコフィード化を研究、養鶏での実用化を目指している。納豆原料の大豆は飼料として最適。乾燥・粉砕させれば粘りもなくなる。健康食品である納豆を与えるため、卵のコレステロール値の低下や肉のうまみ成分の増加などが報告されている。

 エコフィードの推進について農水省生産局畜産振興課の井戸將悟課長補佐は、(1)安全性の確保 (2)残さの特性把握とそれに応じた対応 (3)需給の安定性 (4)コーディネーター(調整する人)やオルガナイザー(組織化する人)の存在 (5)食品残さに関わる諸制度との整合性--の5つのポイントがあると話す。特に(4)の残さの排出側と畜産農家の間を取り持つ役目が重要と語る。

(2006/07/28)


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