鳥取全共を終えて(3)肉のおいしさの行方ーー「サシ」偏重の改良に一石

最高値がついた枝肉(全国和牛登録協会提供)  第8〜9区は24か月齢未満の牛をと畜して、枝肉を審査する部門だ。優勝牛には毎回セリで高値がつくため、大会の華とも言える。各農家の肥育技術を競う場であり、今後の種雄牛の人気を左右する区でもある。
  第9区(去勢肥育牛)には38道府県から76頭が出品された。父牛は95年10月以降生まれが条件。これを制したのは宮崎県の「日向国」の産子。母の父は「安平」。23か月齢で枝肉重量は488・3`、BMS(脂肪交雑)ナンバー12。セリではキロ1万5040円の高値がついた。2席も同じ宮崎県の「福之国」の産子。母の父は「上福」。
  同じ種雄牛の産子2頭を出品した県が多い中で、宮崎県は異なる父からの出品で1、2席を獲得し、層の厚さを見せた。8県から15頭が出品された「安茂勝」の産子は2頭が優等賞に入った。
  第8区は出品牛3頭による総合的な審査で、父牛は00年10月以降生まれが条件。後代検定の結果が出始めた若い種雄牛の能力を競う場だ。
  今後の改良の方向を見ることができる区でもあり、次世代の名牛を全国に送り出そうと、21道県から出品があった。1席はこれも宮崎県の「安平桜」の産子群、2席は山口県の「福美美」の産子群。3席となった岐阜県の「飛騨白真弓」の産子群の1頭には、今大会の最高値であるキロ単価2万2710円が付いた。
  今大会から枝肉審査の補助的な基準として取り入れられたのが、肉のうまみに関係するとされる脂肪中の「オレイン酸」の含有率だ。
  肉質で序列がつかない場合、含有率の高い方を上位にすることになった。9区の上位入賞牛で実際に適用された場面はなかったが、含有率61・1%と最も高かった石川県の出品牛に「脂肪の質賞」が贈られた。このような基準が採用された背景には、これまでの「サシ」重視の改良が、ひとつの転換期を迎えているということがある。
  審査委員長を務めた全国和牛登録協会の吉村豊信専務は「(最高級の肉とされている)BMSナンバー12の枝肉断面を見ると分かるが、脂肪割合は50%を超えている。30%を超えると油っぽく感じるという調査もある中、難しい時代に入ったと言える」と話す。
  もちろん今でも、流通現場ではどれだけサシが入っているかが、価格面での大きな要素となっている。今大会で新たに取り入れられた「脂肪のうまみ」という考え方が、今後どこまで浸透していくかが注目される。

(2007/11/16)


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