優良畜産経営に学ぶ(1) 新規参入で放牧酪農−−記帳と情報の共有で経営改善 北海道・中川治雄さん・富士子さん夫妻

情報の共有がポイント」と語る小林夫妻  飼料価格の高騰などで畜産経営は厳しい状況となっているが、そんな中でも各地で特色ある優れた経営を展開している生産者は少なくない。「07年度 全国優良畜産経営管理技術発表会」((社)中央畜産会などが主催)の受賞者の経営を紹介する。(4回連載)

  北海道中川町の小林治雄さん(51)、富士子さん(46)は90年に静岡県から同町に新規就農で移住し、経産牛37頭の酪農を営んでいる。年間の1頭当たりの乳量は7500キロ、総売上額は2800万円。就農3年目に6頭の事故を出したことを機に、放牧酪農への転換を図っている。
  「子どもに安心して飲ませられる牛乳」を目指して、乳質には細心の注意を払っている。生乳1ミリリットル当たりの体細胞の数値は12万を超えたことがなく、04年以降は6万台を維持している。
  牛舎から牛道までをコンクリート舗装にして、放牧期の乳頭の泥汚れを減らし、拭き取りの手間を省いた。ペーパータオルの導入も町内で初。放牧にしてからは乳房の毛が自然に擦れ、毛刈りもしないで済んでいる。
  牛のストレス減少にも気を配る。スタンチョンからチェーンつなぎ方式に変えたことで、牛が寝起きしやすくなり、痒いところも舐めやすくなった。乳房炎の原因になる過搾乳を防ぐため、搾乳警報機も導入している。
  小林さんの経営で最も評価されたのが、記帳と情報の共有を中心とした日々の管理作業だ。毎夕の搾乳前にはミーティングを欠かさず、個体チェックや草地管理などで、小さなことでも情報を共有するようにしている。
  道具の使いこなしも、作業の効率化につながっている。作業日報、牛舎日報、放牧管理表、回転式繁殖管理板、ホワイトボード、携帯電話などを利用し、日報は年にノート数冊にも及ぶ。
  中でも「最も費用対効果が高い」(治雄さん)のがホワイトボードだ。処理室に置かれ、共有のメモ帳として、やるべきことが確認できるようになっている。携帯電話も頻繁に利用する。アドレス帳を使えば、放牧地や搾乳中でも繁殖情報を知ることができ、メール機能は簡単なタイムレコーダーにもなるという。
  このようにして記録されたデータは経営診断に生かされ、指摘された欠点は翌年の改善目標となっている。経営向上のポイントについて、治雄さんは「1人で勝手に物を買わない、物事を決めない。日頃から話し合って情報を共有できるように努力している」と話す。

(2007/12/07)


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