外食産業の農業参入 収支厳しく路線は様々

  食の安全・安心が大きく揺らぐ中、消費者の目が「原産地」などの表示に注がれるようになった。表示が「努力目標」のガイドラインにとどまっている外食産業でも、「国産」「有機」を売りにした企業が業績を伸ばしている。食材の安定調達のために直営農場をもつ企業も登場しているが、農業部門での利益や品質の確保は難しく、参入形態は様々だ。


■直営農場

  居酒屋「和民」など国内外に630店舗以上を展開しているワタミグループは、契約農場に加え、「直営農場による有機農産物を使った食材」が売り。直営農場のワタミファームは02年から展開。現在、千葉、群馬、北海道、京都など全国8か所で、野菜や酪農などを500ヘクタール規模で生産している。
  農業部門だけの収支は厳しく、06年は台風被害もあって1億6300万円の赤字だったが、「自社で生産・集荷・加工・調理することの相乗効果は大きく、農業部門の赤字は外食部門の30億円以上の黒字で十分取り返せている。農業で儲かるか儲からないは二の次」と中川直洋社長室長は強調する。

ワタミファームの群馬県倉淵村農業
メニューには「有機栽培」を大きく表示
(左)ワタミファームの
群馬県倉渕村農業
(上)メニューには「有機栽培」を大きく表示

■共同経営

  使用する生野菜のすべてを国産から調達するハンバーガー業界第2位のモスフードサービスは、バーガーの規格に合うトマトの調達、特に端境期となる夏場以降の調達が難しいことから、群馬県昭和村に本拠を構える(株)野菜くらぶ(澤浦彰治社長)などと共同出資して、06年に農業生産法人の(株)サングレイスを設立。群馬と静岡の3農場3.8ヘクタールで、07年2月から生産を開始した。年間生産目標は600トンで、そのうち180トンをモスフードで使う計画だ。大口出資のモスフードが生産に関与しないのは、農業に参入して失敗した苦い経験があるからだ。

モスバーガーでは、店頭に野菜の生産者の名前を表示している

モスバーガーでは、店頭に野菜の生産者の名前を表示している
モスバーガーでは、店頭に野菜の生産者の名前を表示している

■契約農場

  関東地域を中心に、イタリアンレストランを761店展開している(株)サイゼリヤは、福島県白河市の農家による農業生産法人・(有)白河高原農場(経営面積40ヘクタール)との全量引き取り契約を条件に、レタス、米、キャベツなどの栽培方法を指定している。

(2008/03/07)


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