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農業経営継承 双方に話聞く相談役が不可欠

 2018年度農業関係予算の概算要求で、農業経営相談所(仮称)の設置が盛り込まれた。農業経営の法人化とともに円滑な経営継承の支援などを目的としている。特に、喫緊の課題とも言える農業の経営継承に焦点を当てたことは重要な意味を持つ。
 なぜなら、2015年の農林業センサスを見ると、約133万戸の販売農家のうち後継者がいない農家は51.3%と過半の危険な状況にある。また、販売農家全体の57%を占める売り上げ300万円未満の階層では、平均年齢が70.9歳にもなる。精査は必要だが、この階層には高齢化で農業生産を徐々に縮小している農家も含まれているだろう。
 事実、経営継承ができずリタイアと同時に廃業する農家も多い。結果、農地は権利の分散や遊休化が進み、農業用施設は一度使わなくなると修繕や更新に費用がかさむことになる。同時に、農家が世代を超えて築き上げてきた農業技術などはそこで消滅する。やはり農場ごと、しかも農業技術などの無形資産を含めて引き継ぐことが重要である。
 そこで、後継者のいない農家を引き継ぐ仕組みとして、第三者経営継承事業に注目したい。文字通り他人へ資産を譲る手法で、経営を譲りたい農家が継承希望者に対して農業技術などを教える研修に係る経費について助成する。継承がうまくいけば、農家は安心して引退できるし、継承希望者は念願の農家になれるので双方のメリットは大きい。
 ただ、資産を譲る相手が他人だけに課題も多い。人間関係の悪化や譲渡金額をめぐる対立など、当事者だけでは解決し難い問題が起き、経営継承が途中で頓挫することは珍しくない。
 事態打開には、中立の立場で当事者双方の話を聞く相談役が不可欠である。
 農業の現場に残された時間は少ない。農業経営相談所(仮称)による新たな取り組みに期待したい。

 [2017-11-10]