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TPP11 農業者の不安、払拭する努力を

 予想外と言ったら失礼か。サッカー日本代表は、ロシアで開催中のワールドカップで奮闘をみせた。ハリルホジッチ前監督の突然の解任劇から一転、選手たちは小気味よくピッチを駆け抜け、国中を大いに盛り上げた。
 この間、予想通りに盛り上がらなかったものもある。環太平洋連携協定(TPP11)の承認案と関連法案をめぐる国会審議だ。ともに6月中に成立したが、議論は最後まで下火のまま。承認案の審議時間は、衆参両院を合わせてもわずか11時間半、特別委員会の設置もなかった。短時間の内に淡々と済ませた印象は拭えない。
 政府の答弁も通り一遍。米国が離脱したのに緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動基準や低関税輸入枠の見直しがなかったと詰め寄る野党には、「協定の見直し規定(第6条)には各国の理解を得ている」と繰り返すだけだった。
 農林水産物への影響試算でも課題を残した。関連法案を審議した参院内閣委員会が附帯決議を採択し、他の参加国や各県の試算も参考にして、より精緻に見直すように求めるほど懐疑論があった。
 政府は牛・豚の経営安定対策(マルキン)の法制化などを定めた関連法を確実に実施しながら、農業者の不安を払拭するよう努めてもらいたい。
 今後はTPPから離脱した米国との新たな貿易協議(FFR)が始まる。安倍晋三首相は6月17日の衆院内閣委員会で「農家との約束もある。これ(TPP11)以上に譲歩することはない」と明言した。これは絶対に守らなければならない。政府はこの点をくれぐれも肝に銘じて交渉に当たってほしい。
 さて、ワールドカップもはや終盤。日本の奮戦をはらはらどきどきと観戦しながら、サッカーの鍵はチームの連係だと改めて思い知った。優れた個人技も意思の疎通があればこそ。これは何もサッカーだけではないのだろう。

 [2018-7-6]