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移住と農業の働き方改革 若者を農村へ呼び込むために

 地方移住を考える大勢の来場者と全国の自治体関係者の熱気で包まれた。NPO法人ふるさと回帰支援センターが9日、東京国際フォーラムで開いた移住マッチングイベント「第14回ふるさと回帰フェア」会場での光景だ。若い男女の姿が、変わり始めた移住意識を印象付けた。
 農山漁村への移住と言えば、ひと昔前までは、定年後の「のんびり田舎暮らし」が定番イメージ。だが現在、移住は若者層の積極的な人生の選択行動となりつつある。それを今年に入ってから公表された調査結果で見てみよう。
 まずは、総務省の2月公表「「田園回帰」に関する調査結果」。都市部住民の農山漁村への移住意識が若年層でより顕著となり、都市部から過疎地域への移住者の45%を20〜30代の若年層が占めた。
 次に前出センターの2月公表「移住相談傾向に関する調査結果」。2017年は若年層の相談者が増え、20〜30代が全体の5割を占めた。
 さらに両調査には、興味深い結果がある。「田園回帰」では、移住理由に「それまでの働き方や暮らし方を変えたかった」が3割を占め、やりがいのある仕事を求める移住者の姿が垣間見えること。「移住相談傾向」では、若年層の相談者が増えたこともあり、移住先の選択条件の第1位「就労の場があること」が前年の45%から61%に大幅に増え、希望する就労形態の第1位「就労(企業等)」66%に次いで、農業が16%で第2位にあがっていることだ。
 これらの結果は、ある可能性を示唆している。農業の「働き方改革」の推進で、都市部の若者を農村に呼び込むことができるという可能性だ。
 農業現場で労働環境の改善や人材育成などの取り組みが進み、働きやすい、働きがいのある法人・個人経営が数多く生まれ、農業が若者から選ばれる職業となることは、人口減に悩む農村の新たな地域づくりにつながるはずだ。

 [2018-9-14]