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FRONT LINE ランのネットショップ販売で急成長 熊本・宇城市 宮川洋蘭

 全国農業経営者協会(事務局=全国農業会議所)が2月に東京で行った研究大会講演から、熊本県宇城市で(有)宮川洋蘭を営む宮川将人さん(40)の、ネットショップで急成長を実現した販売・経営戦略を紹介する。

 将人さんは東京農大を卒業後就農し、その後米国で2年間研修した。2004年に帰国した当時は「薄利多売の市場出荷」が中心だった。
 現在、売り上げの65%を占めるネット販売は、結婚を機に2007年に妻の水木さん(39)と楽天市場に出店した。店名は水木さんの名前を取って「森水木のラン屋さん」。2年間はほとんど売れなかったが、たまに入ってくる「ありがとう」のレビューを支えに続けた。
 転機は2009年10月。長男の誕生がうれしくて「元気誕生祭」と銘打ち、「母思い」と名付けたデンドロビュームを売り出すと大ヒット。赤字覚悟のセールだったが、月に十数万円だった売り上げが一気に200万円になった。
 奇跡は続いた。半年後、1億の商品がある楽天市場で、総合ランキング1位を獲得。「母思い」が、母の日のプレゼントとして使われ、1日に500万円売れた。受注過多になるので8日目でやめたが、計5千万円を売り上げた。
 だが、計画の5倍もの注文を受けた結果、母の日(5月第2日曜)に間に合わせるため将人さんと水木さんは3日間寝ずに作業。最後の3時間は地域の仲間に助けられ、何とか間に合わせることができた。

 やがて大きな付けが回ってきた。半月後、将人さんは疲労で倒れた。死のふちをのぞいた経験は、生き方や経営方針そのものを考え直すきっかけとなった。 
 販売はその後、ネットショップを核に市場出荷、カタログ販売、農場での直売、法人ギフト、6次産業化をめざしてつくった枯れない花で人気のボトルフラワーなど多様化。安定拡大で売り上げは倍増したが、「損得を超えた人間になりたい」と、地域活動に積極的に関わるようになった。
 将人さんは「もうけばかり追いかけていたが、人や地域のためにとスタンスを変えてからいいことばかり」と振り返る。
 2017年に経産省の「はばたく中小企業300」「地域未来けん引企業」に選ばれ、2018年には楽天ショップオブザイヤーCSR(地域貢献賞)を受賞するなどさまざまな賞を受けた。
 将人さんの信条は「頼まれごとは試されごと」「返事はイエスかはい」。「2024年までに売り上げ10億円、利益1億円で100人の雇用をつくり、地域に貢献したい」と話す。

写真説明=宮川洋蘭は日本農業法人協会の「農業の未来をつくる女性活躍経営体100選」にも選ばれた(中央が宮川さん)

 [2019-4-12]