カテゴリータイトル

経営 技術 流通

すべての記事を読む

トマト 夏越し長期どり技術を開発 石川県農林総合研究センターがコマツ、東レと連携

 石川県農林総合研究センターはコマツ、東レと連携し、地下水を利用した安価な冷房装置と、光合成に必要な光は通すが熱を遮断する資材を組み合わせたトマトハウスによる、夏越し長期どり栽培技術の開発を進めている。
 トマトは高温になると着果が悪くなり、裂果も増える。北陸最大のトマト産地である石川県では盛夏の時期を避け、春と夏秋の年2作の栽培が一般的。収穫期間は年間で約5カ月間に限られるため、地下水冷房装置と遮熱資材の活用で夏場のハウス内温度の上昇を抑え、年1作の夏越し長期どりで増収を目指すものだ。
 地下水を利用した冷房装置は、県内に工場がある建設機械大手のコマツが工場の冷房用に開発した空調システムをヒントにしている。地下水と熱交換した空気をダクトで送風し、トマトの成長点付近(地上高1.5メートル)を冷やす。昼間は、天井部にたまる暖気をハウスの外に排出する。これにより、これまでに昼間の気温を最大2.9度下げることができた。夜間は側窓を閉めて外気の流入を止め、ハウス内の空気を循環させることで、最大1.4度下げることができた。
 花粉の不稔が発生する35度以上の時間数は30.5時間あったが、この装置を導入することで4.5時間と大幅に削減。着果不良となる日平均気温が26度以上の日数も、同50日が41日に減少した。
 同センター内の試験ハウスと、主産地である小松市などのトマト栽培農家7戸の農場で2017年から実証試験を続けている。
 実証試験の品種は「りんか409」。石川県での10アール当たり年間平均収量は17トンだが、夏越しの長期栽培により25トンを目標に設定。17年の同センター内試験ハウスでの実績は22.6トンだった。実証試験に参加している農家からは「猛暑でも裂果が少ない」など評価する声が聞かれるという。 
 遮熱資材は東レが石川県と共同開発している。熱線を選択的に遮断することができるため、既存のビニールハウスの外側にかぶせて温度の上昇を抑えることで、さらなる気温低下が期待できる。
 同センターでは、さらに冷房装置の利用法と遮熱資材の改良を続け、ハウス内の温度、湿度など生育環境の制御と合わせた栽培技術の導入なども検討。早期の実用化を目指している。

写真=地下水を利用した冷房装置(石川県提供)

 [2019-5-10]