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丈夫な野菜苗 早く効率的に 鹿児島・南さつま市 エルムが開発 エコナーセリー

 丈夫な野菜苗を早く効率的に作る方法が誕生した。鹿児島県南さつま市にある電子機器製造メーカー(株)エルムはコンテナ型栽培システム「エコナーセリー」を開発。環境制御した高断熱コンテナ内で気象条件や病害虫の影響を受けず計画的な苗生産ができる。人の作業は播種と出荷のみだ。苗生産の大幅な省力化が期待されている。

 このコンテナは幅約2・4メートル、長さ約12・2メートル、高さ約2・9メートルと約10坪に収まる。中には棚が10段設置され、セルトレー約400枚が収納可能だ。128穴であれば苗を5万1200本収納。少ないスペースで、多くの苗を生産できる。
 育苗期間は短い。キャベツの場合、通常の育苗期間が約30日に対し、エコナーセリーで作る苗(EN苗)は約16日でできる。播種時期を1日ごとにずらせば、毎日、約3500本の苗ができる計算だ。取りに来る時期がバラけることの多い生産者に対していつでもいい苗が供給できる。
 加えて強い苗になる。昨年、同市のキャベツ圃場で慣行苗とEN苗の比較試験を行った。9月5日に定植し19日後の茎の直径を区内の5本平均で比較すると慣行苗が6・08ミリに対し、EN苗が10・2ミリと太かった。定植後91日の重量は慣行苗の約1・9倍あったという。圃場を提供したキャベツ生産者は「EN苗は欠株がほとんどなかった。虫食いや立枯病の発生もほとんど無く、苗の色も濃い。施肥や農薬の使用減も見込めるのではないか」と効果を実感した。
 強い苗が早くできる理由はコンテナの内部構造にある。育成のために赤色と青色の発光ダイオード(LED)光源をバランスよく配置。赤色が光合成を助け、青色は茎の形を整えている。自動搬送ロボットを設置し、育成時期に合った高さにトレーを自動で動かす。炭酸ガス濃度やpH値、EC値、温度などは自動で制御し、植物が生育しやすい環境を整えている。水は必要な分のみを底面潅水で与え、紫外線で殺菌しリサイクルして使う。
 土耕のみでなく、水耕栽培にも対応している。ベビーリーフなどは、水耕栽培で14〜16日で収穫できる。播種も独自のシードペーパーを培地に敷くだけだ。

写真=中央の自動搬送ロボットが苗を自動で移動

 [2019-5-17]