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人手不足解消に道 外国人材の受け入れで

 新たな在留資格「特定技能」が4月から14分野で導入された。農業では直接雇用に加え派遣労働も認められ、人手不足に悩む現場で期待が高まる。それに先立って、外国人材を労働力として受け入れる国家戦略特区での農業支援外国人受入事業が昨年創設され、派遣の仕組みづくりなどが進む沖縄県と愛知県で現状を探った。

 JA沖縄中央会は昨年10月「農業労働人材支援センター」を発足させ、国家戦略特区の農業支援外国人受入事業で中央会として全国最初の受け入れ組織となった。技能実習を終え帰国後1年経た男性13人、女性3人のベトナム人を3月から雇用し、県内7経営体に派遣している。
 雇用契約を結んだ外国人に労働法令など3日間の研修を行った上で、花卉や野菜、養鶏などの経営体に派遣。外国人の住居の確保に加え日常の労務管理を一手に担う。
 派遣先は10人が農業の盛んな糸満市。同市でピーマンやスイートコーンを約5ヘクタール作る山城学さん(59)は2人を受け入れた。JAおきなわの経営管理委員や中央会理事を務める山城さんは、JAの技能実習生受け入れ事業や本事業の創設を主導した一人で、技能実習生から派遣に切り替えた。「作業日誌などの作成、賃金支払いの諸手続きなど外国人の管理を自らする必要がなくなり、負担が大きく減った。費用面では割高だが、トータルで考えると派遣を選択したい」と言い切る。
 同市で小菊や夏菊を4ヘクタール余り栽培する新垣大策さん(32)も2人を受け入れた。「実習生として農業経験のある派遣外国人は作業の流れが分かる。作業時間に余裕ができ、手間をかけたことで品質が向上した」と高く評価する。
 新たな仕組みづくりに奔走する同センター長代行の花城正文さん(46)は「今後体制を整えた上で年2回受け入れ、年間80人ほどに拡大したい。農協施設への派遣も考えている」と先を見据える。
 全国屈指の施設園芸産地の愛知県では、国家戦略特区の事業で認められた特定機関(派遣会社など)3社がベトナム人14人を野菜や果樹、畜産などの経営体に派遣する。
 蒲郡市などでイチゴやメロン、ミカンなどの果物狩りで年間20万人を集める蒲郡オレンジパーク。特区でベトナム人5人を受け入れる。そのほか、フィリピン人の技能実習生を現在12人雇用する。実習生は2年目に日本人パートをまとめ、3年目にはシルバー中心の日本人を指導できる能力に高める仕組みをつくる。
 農園部副部長の石川茂晃さん(45)は「技能実習生からの切り替えは農業実習の下地があるため、ありがたい」と即戦力に期待する。
 小牧市に本部を置き、採卵鶏・養豚の自社一貫生産と加工品の製造直売などを行うクレストグループは約90人の技能実習生を雇用する。中部のほか関東、関西にも事業所を構えるグループの人材は本部で一括管理。栗木鋭三会長の考えにより「同一労働・同一賃金」を貫き、日本人と外国人の賃金差はない。
 現在、養豚のベトナム人技能実習修了者1人を新たな在留資格「特定技能」に切り替える申請手続きを進める。同一職種内の転勤が可能となるため「グループとして活用したい」と期待する。
 グループの人材を統括する執行役員の尾上哲三さん(56)は「長期雇用で外国人の社員化が進む。実習修了者から徐々に切り替え、労働力として活用したい」と歓迎する。

写真=派遣のベトナム人2人と山城さん(右)

 [2019-6-7]