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農政の動き

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これからの働き方と人材育成(5) スマート農業で作業を効率化 池守農場 北海道・帯広市

 広大な畑作地帯の北海道十勝平野。大区画圃場が連なり、どの農場も大型機械を多数所有している。帯広市で畑作26ヘクタールを経営する池守農場の池守明裕さん(54)は、2008年に同地域でいち早く、測位衛星(GPS)によるトラクターの経路誘導と自動操舵装置を導入した。きっかけは「父の死による労働力への不安」。広い圃場でトラクターをまっすぐに走らせることが難しく「神経を使い、ストレスだった」と振り返る。
 池守農場ではビート、ナガイモ、ジャガイモ、小麦を栽培し、2月下旬から11月中旬まで忙しい日々が続く。それぞれの作目で、耕起・整地、施肥、播種・移植、中耕・除草、防除、ネットの巻き取りなどトラクターを使う作業がある。圃場の面積は2.5〜5ヘクタール。長辺は長いところで360メートルもある。
 労働力は家族と繁忙期のパート。トラクター作業は池守さんと父親でしていたが、20年ほど前に父が64歳で亡くなった。その年は、妻が急きょトラクター作業をして乗り切った。生まれたばかりの下の子を保育園に預け、上の子におっぱいをあげながらの作業で、池守さんは「申し訳なかった」と話す。
 作業を省力化しようと、ビートの移植機とトラクターを作業性のいいものに買い換えた。育苗ハウスも更新し、自動散水装置を取り付けた。当時の経営面積では過剰な投資だったが、作業者の数は変わらなかった。そんなとき、網走の友人が「GPSがあるぞ」と教えてくれた。網走まで見に行き、導入を即決。最初は走行経路を示す誘導装置だったが、すぐに自動操舵に切り替えた。
 池守さんと妻が使う2台から徐々に増やし、5台全部のトラクターに装着。GPSだけでは1メートル以上の誤差が出るため、信号を補正するRTK基地局も導入し、倉庫の屋根に取り付けた。費用は1セット100万円ほどかかるため「コスパ的には微妙」だが、作業効率が上がり、作物の品質も良くなった。なにより「体力的、精神的にずいぶん楽になった」

写真=自動操舵装置「ニコントリンブルGFX-750」を装着したトラクターと池守さん

 [2019-6-7]