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農政解説

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農地利用の最適化へ総決起! 粘り強い活動で実績 3農業委員会会長が決意表明

 5月27日の全国農業委員会会長大会(全国農業会議所主催)は農地中間管理事業の5年後見直し関連法が公布された直後に開かれ、農地利用の最適化に向けた総決起集会とも位置づけられた。大会では粘り強い取り組みで実績を上げる岐阜県高山市、奈良県桜井市、佐賀県伊万里市の三つの農業委員会会長がこれまでの取り組みの報告と今後の決意を表明した。その概要を紹介する。

岐阜県高山市農業委員会 鴻巣明久会長 市内5地区の実情に応じた活動

 高山市農業委員会では、森林が9割を占める市内を5地区に分け、各地区の実情に応じた機械利用や作業共同化、草刈りや水路管理での出し手・受け手の協力関係の構築など課題解決を目指している。さらに、丁寧な農家の意向把握を通し、中山間の産地を守る取り組みにも力を入れる。
 新体制となった2017年度から農家意向アンケート調査を実施。その結果を農業委員、農地利用最適化推進委員で共有して貸し付け希望者・借り受け希望者間のマッチングに活用。
 丹生川町町方地内の町方上野団地では、地区担当の農業委員や推進委員が中心となり、所有者36人の全ての農地の利用状況や貸借の意向などを調査し、担い手への集積計画を作成。マッチングの結果、担い手18人に12.3ヘクタールを集積し、集積率は94%に達した。また、県や市など関係機関とともに新規就農者の育成・発掘にも力を入れ、市が行う「就農体感ツアー」参加者の研修から就農後のフォローアップまで連携して取り組んでいる。
 鴻巣明久会長は「農業委員、推進委員が一丸となり新規就農者の育成と確保に努め、地域が持続可能な農業を続けられるよう取り組む」と決意を述べた。

奈良県桜井市農業委員会 杉本義衛会長 委員が人・農地プラン策定・改定
 
 桜井市農業委員会では、地区担当の農業委員と推進委員がリーダーとなり人・農地プランの策定と改定に取り組んでいる。
 美しい棚田が残る同市吉隠(よなばり)地区では、2015年に農地をこれ以上減らさないことを目標に、現在の担い手が耕作・保全を続け、離農者が出た場合は集落内で協力しあうというプランを策定した。
 2018年には、集落内の30農家で集落営農組織を設立し、地区全体として「吉隠米」のブランド化に取り組んでいる。吉隠米は地域資源として市から「大和さくらいブランド」としての認定も受け、ふるさと納税の返礼品としても活用されている。
 一方、平坦な農地が広がり、小麦・水稲・大豆の輪作が盛んに行われていた同市大西地区では、将来の後継者不足への危機感から集落営農の法人化に向けた話し合いを繰り返し行い、2013年に人・農地プランを作成した。2016年10月には組合員60人、経営面積43.8ヘクタールで(農)大西営農を設立した。大型機械導入やオペレーターの確保につなげ、農地を守る取り組みを強化している。
 杉本義衛会長は「人・農地プランの充実や農地集積の推進によって、さらに農地の遊休化の防止に努めていきたい」と意気込みを語った。

佐賀県伊万里市農業委員会 山口友三郎会長 園地の放置に危機感持ち流動化

 伊万里市農業委員会では、中山間地域にある茶園が高齢化で放置される危機感から園地流動化を推進。2015年と2016年に二つの集団茶園で農地中間管理事業を活用した茶園の貸借を進め、6.8ヘクタールを集積した。
 この経験を生かし、樹園地での園地流動化を計画。この取り組みは伊万里・西松浦地区農業技術者連絡会果樹部会が主導。部会には農業委員会や農地中間管理機構もメンバーに入り、農地中間管理事業を活用した園地流動化を進めた。計画的に耕作者にバトンを渡すというイメージを分かりやすく伝えるために「地域リレー方式」と名付け、所有者・耕作者に説明した。
 果樹部会の呼びかけが実を結び、大川町立川地区では地域リレー方式による園地流動化を進め、樹園地18ヘクタールを15人に集積した。会の総会で流動化の計画が毎年更新されることで、耕作者を計画的に確保できるようになった。翌年には南波多町府沼上地区でも地域リレー方式により16ヘクタールを15人に集積した。
 山口友三郎会長は「農業委員、推進委員と事務局が力を合わせて農地を守り、有効活用されるよう活動したい」と決意を表明した。 

 [2019-6-7]