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FRONT LINE ブランド化で地域農業活性化へ 群馬・伊勢崎市農&食戦略ブランド会議

 キーワードは「伊勢崎テロワール」伊勢崎市農&食戦略ブランド会議(群馬県伊勢崎市)は、14の農産物をブランド化し、地域農業を盛り上げている。農商工の連携で、旬にスーパーなどで販売するほか、飲食店と提携して良食味をアピール。地元を中心にファンが増え続けている。

 同組織には農家51人が所属し、作物ごとに17の部会がある。ブランド化されているのは、糖度が13度を超えるイチゴ「美麗」や食味値が85を超えた米品種ミルキークイーン「ミルキーシェリー」、糖度10度以上のハクサイ「十兵衛」などと幅広い。部会では生産技術を学び、厳しい基準で生産を行っている。
 ゴボウ部会長の田部井靖さん(54)はブランド化した完熟牛蒡(ごぼう)「甘久郎」と夏牛蒡「京香」を作っている。特に甘久郎は糖度18〜20度以上が基準で、甘く柔らかい。伊勢崎のゴボウは、市場でももともと高い評価を得ていたが、栽培技術が難しく、甘久郎は部会に所属する7人の中でも3人しか作ることができないそうだ。
 田部井さんは「飲食店との連携で認知度が上がり、ニーズは増えているが、量がまだ少ない。部会で技術を磨き、生産量を増やしていくことが目標」と話す。甘久郎と京香の栽培面積はゴボウ作付け2ヘクタールのうち約50アール。価格は約1.5倍で取引できるという。
 旬には飲食店と連携し、「甘久郎のごぼ天」をキーワードにしたフェアを開催している。参加する飲食店は39店舗まで増えた。同様のプロデュースを他の品目でも広げている。

 普及に尽力したのが同市役所農政課の塩島隆久係長だ。塩島係長が異動した2012年、農業者と話す中で「若い農業者が夢をもてるような環境を作りあげたい」と考えた。ブランド化の指導を県農業会議の紹介で、地域農業戦略アドバイザーの高木響正氏に依頼。市内の農業環境の調査や農家向け研修会を開き、2014年に同組織を立ち上げた。
 目指したのはフランスのテロワール発想。高木氏は「ブランドづくりは一つの手段であり、戦術。目的は伊勢崎全体の農業の活性化だ」と話す。テロワールとは「地域伝来の自然と原料と住民の知恵と技を駆使してこそ生まれるのが最高のワインであり、地域環境に誇りを持つ」という考え方で、農商工連携での地域経済活性化が最終目標だ。
 そのため、地元での普及にこだわる。東京では全国がライバルとなるが、地元では競争相手が少なくニーズもつかみやすいメリットもある。2014年に始まって以来、新たなブランドは平均3カ月に1度のペースで構築。常に話題を提供し、伊勢崎にはたくさんの高付加価値の農産物があるというイメージ作りをしている。塩島係長は「最終的には農家自身が法人化して、販売拠点を作ることが目標。それができる生産者や農作物が伊勢崎にはそろっている」と話す。

写真=販売では商業高校生と連携したイベントも開いた

 [2019-6-7]