カテゴリータイトル

主張

すべての記事を読む

原子力損害賠償 農家一人残らず補償を

 ついに米にまで……。原子力災害対策本部は8日、「稲の作付に関する考え方」を示し、土壌中の放射性セシウム濃度が土1キロ当たり5千ベクレルを超えた場合の作付けを禁止した。週内には地域が具体化されるかもしれない。
 今回の原発渦は、いつ収束するとも知れない。よしんば作付けができても、放射性物質の放出がやまない限りは、収穫時の分析で暫定規制値を超えていれば出荷停止だ。
 農業者には全く過失はない。地震、津波に続いてどこまで苦難は続くのか。対策本部は、補償は万全を期すとしている。それは当然だが、ただ1作の損失補てんレベルで済む問題ではないことに、思いをいたすべきだ。
 日本農業を見る眼差(まなざ)しは、全て険しいものとなることは必定だ。国内の風評被害はもとより、農産物の輸出戦略も、根本から見直しが必要だ。米国が我が国に牛肉の月齢制限の撤廃を迫っていることが、合わせ鏡のように感じられる。攻守所を変え、我が国は厳しい局面に立つ。これらの困難に耐え得る補てんがなされるべきであろう。
 原子力損害の補てんは「原子力損害賠償法」に基づいて行われる。東京電力と被害者との「民民」の枠組みでなされるものだ。しかし、半減期のない風評被害など同法の枠組みに十分収まりづらい損害が、今後も明らかになるのではないか。その時こそ政治の出番だろう。
 当面ようやく同法の損害補償が動き出す。国と関係者に求めたいのは、おおよそ農家であるならば全員、最後の1人まで補償がなされるよう細心の目配りを心がけて欲しいということ。
 1日に農家へのつなぎ資金などへの対応が明らかにされた際、国が、JAの取り組みの対象にならない農家に対しても関係方面へ配慮するよう要請を行っているが、このスタンスを更に強めてほしい。

 [2011-4-15]