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東日本大震災

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営農再開脅かす獣害 原発被災地の農家は今

 東京電力福島第1原発事故から2年半。まだ多くの人たちが仮設住宅で暮らし、大量の汚染水を流し続けている。政府は今月初め、避難指示区域の再編を予定より1年4か月遅れでようやく終えた。しかし解除には至らず、「帰還困難」など制限区域が広範に残る。指示区域周辺では農業が再開されつつあるが、イノシシなどの鳥獣害が戻ってきた農家を脅かす。出来秋を控え、風評被害の再来も心配だ。原発被災地の今を追った。

 「電気柵がなければとても作っていられない。イノシシのほかタヌキやハクビシンなどが避難中、確実に増えた。皆に先駆けて始めた私の圃場が集中的に狙われている感じがする」
 福島県田村市都路町で農業を再開した農業委員の吉田修一さん(58)は鳥獣害の脅威をこう話す。
 吉田さんの圃場は事故原発から20キロ圏の警戒区域までわずか200メートルという場所。獣害の増加要因として(1)人の不在(2)ハンターの減少(3)猪肉の放射能汚染を挙げる。1キロ5千円近くで売れた猪肉も今では引き取り手がおらず、駆除代2万円が支払われるだけだ。
 電気柵も絶対ではない。草などに触れ放電してしまうと効果がないとの指摘もある。市農林課でも「あくまでも効果が高いと言うだけ」と過信しないよう呼びかける。
 都路町が抱える警戒区域は国直轄の「除染特別地域」で、これまでに唯一宅地・農地ともに除染が完了した。現在は「避難指示解除準備区域」に再編され、それ以外の区域では市による独自の除染も進む。市農林課では「水田で実質60〜80%、草地で同50%終わっている」と見る。この春から市の農家の約3割が戻り、36%の水田で米作りが再開された。

写真説明=電気柵の張られた水田を示す吉田修一さん

 [2013-8-30]