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新生農委 農委自ら耕作放棄地再生 宮崎・川南町農業委員会

 耕作放棄地の解消を下地に食育や6次産業化につなげるのが、宮崎県の川南町農業委員会だ。2013年に「川南農地活性化プロジェクト」を立ち上げ、農業委員自ら解消活動を実践。復元した圃場を小学生の体験農園に活用する他、再生農地で栽培したサツマイモが原料のオリジナル芋焼酎を発売するなど、その活動は幅広い。
 同町農業委員会では農地パトロールを8月と11〜12月の年2回実施し、1筆ごとに利用状況を把握している。畑作や畜産などがさかんな同町だが、担い手の大規模化が追いつかない早さで進行する高齢化などを背景に耕作放棄地が少しずつ増加。現状への危機感から「何かできることはないか」と始めたのが、同プロジェクトだ。
 耕作放棄地は基本的に地域の担い手が解消する方針で利用調整などを進めるが、同プロジェクトでは農業委員が農地をいったん借り受ける。抜根や整地などを終えたらソバやサツマイモなどを作付け、借り手が見つかったら収穫後に貸し付けて農地流動化を確実に推進する。同プロジェクトで解消した約2.3ヘクタールの耕作放棄地を含め、2013〜2015年度で約13ヘクタールを再生した。
 同プロジェクトの初年度に復元した約1ヘクタールの畑の一角は「わいわい子ども農園」と名付け、小学生の農業体験の場として提供。農業委員が指導しながら作物を育て、課外授業の料理教室に活用する。
 昨年度は料理教室で使い切れないサツマイモで焼酎を製造する計画に着手した。焼酎の原料で一般的な品種を8アールの再生農地で栽培し、事務局職員のつてで協力を仰いだ地元酒造場で加工。約1.5トンの芋から一升瓶およそ千本分ができ、地元の地名にちなんで「トロントロン」と命名した。
 今年5月に販売を開始し、予約の段階で完売するなど滑り出しは好調だ。耕作放棄地再生の成果というコンセプトは守りながら、将来的に町の特産品にするのが目標だという。
 今後は一般農家を焼酎造りに巻き込み、農業委員会は原料供給で協力する運営体制を目指す。今年7月の新体制移行まで会長を務め、焼酎造りにも積極的に関わった黒木則人さん(76)は「農業委員会は一石を投じただけ。これを機に住民による解消活動にもつながってほしい」と語る。
 同町農業委員会では農業委員と農地利用最適化推進委員、事務局職員の結束を新たにしたばかり。黒木さんは「川南町の農業はまだまだ元気。農業委員会でもそれを盛り上げていかなければ」と使命感をにじませる。

写真説明=黒木さんと「トロントロン」。瓶のラベルは同町職員がデザインした

 [2017-7-21]