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農業の働き方改革 明確な経営改善ビジョン不可欠

 「働き方改革」が社会的な関心を集めているが、農業界の反応はどうか。元々農業は労働基準法が定める1日8時間労働制や休憩・休日の規定部分が適用除外だ。農業法人などでは就業規則の整備が加速しているが、業界全体は模様眺めといった印象がある。
 農業経営者からは「募集をしても人が集まらない」という声が聞こえる。しかし、完全失業率2.8%、有効求人倍率1.51倍というバブル期並みの労働市場を考えると、人手不足は農業に限ったことではない。
 では労働者の意向はどうか。厚労省の雇用動向調査(2015年度)によると、定年や契約満了を除く退職・転職理由は、男女とも「給料等収入が少なかった」男10.5%、女10%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」男10.5%、女13.8%が上位を占めている。男女ともに賃金と労働時間が働く意欲になっていることがわかる。とはいえ、会社として経営体力以上の賃金は払えないし、時短労働も売り上げを維持できなければ賃金は下がる。もし、経営を悪化させる賃上げだったり、生活費を補てんする副業が目的の時短になってしまえば本末転倒である。
 重要なのは時間単価を上げる仕事をつくること。言い換えれば付加価値のある商品をいかに提供するかを考えることだ。労働者の処遇改善を考えるなら、今の仕事内容も見直す必要がある。
 製造業などに比べて労働生産性が低いとされる農業で、政府が進める6次化は一定の方向性を示している。新技術のICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の導入も農業の生産性向上やコスト低減に期待が持てる。これまで経験則や暗黙知に頼っていた農業技術を見える化すれば人材育成の手法も変わるだろう。
 「働き方改革」の実現は明確な経営改善のビジョンが不可欠だ。目先の処遇改善に終わらないことを期待したい。

 [2017-8-11]