農業参入法人連絡協議会は、8月30〜31日、東京都内および茨城県下で、平成19年度の第1回研修会を開催しました。
参加者は20名程度と少人数でしたが、設立から半年余を過ぎ、会員同士が気さくにあいさつを交わし合うアットホームな会合となり、事例報告者や講師に対しても積極的な質問や意見交換が行われました。
2日目は、茨城県下の2農業法人を視察し、いいモノづくりといいモノ販売の取組みを研修しました。
【詳細】
◆1日目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あいさつ 櫻井 武寛 会長
光吉 一 農林水産省経営局構造改善課長
研 修
| *事例報告 |
株式会社セイツー・奥村 晃 代表取締役(石川県・川北町)
「野菜の卸・加工から野菜づくりのモデル経営を」 |
| *講演 |
有限会社良品工房・白田 典子代表取締役(東京都)
「売るより買う方がむずかしい」 |
| *情勢報告 |
農林水産省構造改善課・大山文郎課長補佐
「特定法人の農業参入及び農地政策の見直しをめぐる状況」 |
| *意見交換 |
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◆2日目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現地視察(茨城県)
(1)取手市・(有)シモタ農芸(霜多増雄代表取締役、ハーブ栽培)
(2)つくば市・「みずほの村市場」((株)みずほ)(長谷川久夫代表取締役、直売所)
研修会では、石川県河北潟で農業に参入した「株式会社セイツー」の奥村晃(おくむらあきら)代表取締役から、農業参入のきっかけや経営について話をうかがいました。
わが国は青果物流通の多くを海外に依存していますが、スーパーや外食大手は、安全・安心志向から国産への転換を図っており、このための体制を整備・強化していくことが求められています。
奥村社長は、若い頃、石川県経済連(現在の全農石川県本部)に勤務、集荷・販売を担当しましたが、土作りから真面目に取り組む |

(株)セイツー奥村社長 |
生産者の良質な生産物とそうでない生産物とが同じ○○産として集荷・販売されている実態に大きな不満を感じたそうです。
また、野菜は天候によって収量や価格が乱高下し、農家経営が安定しないことから、安定した農業経営が成り立つ仕組みが必要と考え、1982年に青果物卸会社を設立。その後設立したカット野菜の会社などを統合して、1982年に現在の「セイツー」が誕生しました。
奥村社長は「土づくり」を生産の基本に据えています。それを計るのが土壌分析であり、土壌中の有機質を科学的に検出し、それぞれの野菜に適した施肥を考えていきます。検査費用の低減や期間短縮にも取り組んだ結果が、スーパーや外食大手が取り扱うセイツーの高品質野菜として誕生しています。
「『何にも生産原価がある』として、夫婦2人が年間800万円の平均収入をあげるとすれば、年間2,200時間働くとして時給は約1,800円。これをもとに品目、全作型でコストを割り出すと、市況の単価とそう変わらない。園芸はコスト計算をしておらず丼勘定でやってきた面がある。野菜生産はある意味で工業生産であり、こういう経営をすればしっかりやれるというモデルづくりをしていきたい」と、奥村社長は話してくださいました。
奥村社長は、さらに、「農家と契約栽培の契約を結ぶ際、農家を訪ねても畑には行かず、自宅に上がらせてもらう。大事なのは、『夫婦仲がいいか』『親孝行をしているか』『人の痛みが分かるかどうか』であり、家にあがれば、こうしたことがわかる」とも話されました。
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研修会ではさらに、有限会社良品工房の白田典子(はくたのりこ)代表取締役から「売る方が買う方がむずかしい」と題して講演をいただきました。
白田社長は、広告宣伝会社勤務やマーケティング会社での商品開発、主婦業等の経験を経て、1994(平成6)年、今の会社を設立しました。最初は天然アユの販売を手がけたそうですが、自分でモノ作りをし、営業に歩いたり、売り場を経験したことで売り場の人たちとつながることができ、売り場にモノを売りに行くことを経験し
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(有)良品工房白田社長 |
て、売ることの大変さや作り手と購買者との距離に違和感を感じたこともあったそうです。
「『販売促進』とは売りやすい状況を作り出すことだと言われ、なるほどと思いましたが、むしろ「購買促進」を心がけようと思いました、と白田社長は話されます。「我が家の食卓は近所のスーパーの仕入れで決められてしまう。毎日使っている人が気に入っているものを使っている。野菜は生産者や履歴が分かると言われても、それが全部出てしまうので、こだわり品になってしまう」−こうした話の節々に「主婦の感覚」が入ってきて、参加者もつい頷いてしまいます。
会社のメイン事業である「いいものプロジェクト」は「実際に台所で使って、食卓で食べて、納得できた実感があるものをお店で買えるようになるといいな」ということから始まった会員制による消費者モニターの食材評価の仕組みです。一般の商品モニターがメーカーからお金をとってモニターに無料で資材を提供するのに対し、このプロジェクトでは、毎年6,000円の会費を払い入会したモニターが試食会ではなく自宅の食卓で食べ(「自食」)、評価を下す仕組みで、メーカーからは食材の提供を受けるだけで一切経費は受け取っていません。消費者の声を売る人、作る人に伝えていくという仕組みの中でもユニークな取組みと言えましょう。
白田社長のお話の中から生産や販売のヒントをいくつかご紹介しましょう。
● 商品名によって「おいしい」「まずい」も変わってしまう。モノがいいのは基本としても、それ以外の理由で売れ行きが大きく変わることもある。いいモノを作ることといいモノを売っていくことは違う。
● 商品に生産履歴を開示されることが多くなったが、消費者は覚えきれない。バックインフォメーションとしてはいいが、店頭や消費者向けのアクティブインフォメーションとしては要らないと思う。
● 女性は感性や感覚でモノを買うことが多い。お客の感性は説得できない。理屈で「買ってくれ」はありえない。パッとみて商品の良さがわかる「翻訳」が必要。作っただけでなく、買ってもらって食べられて初めて価値が出る。
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