株式会社 エイゼン ホームページ
なぜ農業に参入したのですか?
エイゼンのほ場
    株式会社エイゼンは、昭和32年創業の産業廃棄物・一般廃棄物の処理等を事業とする会社です。現在の会長が個人名義の農地で、米とミカンを栽培していますが、平成22年までは会社としての農業への関わりはありませんでした。
    ところが、平成22年に愛知県の「知多半島バイオマス利活用推進計画」12事業のうち2事業の中核事業者として、エイゼンが選ばれることになります。事業の1つは、食品残さを活かした飼料の地産地消化エコフィードの推進でした。食品製造会社から出た食品廃棄物をエイゼンが飼料化し、それを使った農家が畜産製品をブランド化して食品製造会社に販売するリサイクルループの取組です。
    そして、もう1つの事業が、遊休農地での飼料作物生産事業でした。畜産農家がつくった堆肥をエイゼンが利用して、飼料作物(デントコーン)を生産し、それを畜産農家が使うリサイクルループの取組です。廃棄物処理のノウハウを活かした飼料・肥料製造とセットでの農業参入でした。
どんな農業をしていますか?
里山工場の堆肥製造施設
    当初は、ソルゴーを栽培してバイオエタノールを製造する予定でしたが、生産量が少なく、採算が合わないことがわかり、他の作物を1年かけて検討しました。大手メーカー向けのジャガイモやトマト栽培も選択肢としてあがりましたが、畜産農家への聞き取り調査からデントコーンであれば採算がとれるとの結論に達しました。
    農地については、愛知県が知多半島の市町に耕作放棄地の申告を呼びかけて、申告があった場所から選定した20haを解除条件付貸借で借りました。その後3~4年間耕作を続けていると、周辺の地権者から農地を貸したいと声をかけられるようになりました。エイゼンからも周辺の地権者にお願いをしていますが、その甲斐があって現在は29haまで規模が拡大しています。
    農地は、常滑市、半田市、東浦町、武豊町、美浜町、大府・豊明市の4市3町にまたがっています。1か所の面積は一番大きいところが1haですが、他は10~80aの区画が点在しているのが実情です。農業機械を自走で移動させることができないので、搬送車を購入しました。
    100カ所以上に分散し、100人を超える地権者がいます。利用権設定の期間は、1~5年となっています。地権者に高齢者が多く相続の関係があることから、長期間の利用権設定をするのは困難です。ただし、契約が打ち切られることはそれほどなく、賃借料は当初の5000円/10aから3000円/10aに下がってきています。
    新しく借りるときの条件としては、20a以上の面積を希望しています。全体としての目標は40haまで規模を拡大することにあります。
    通年で農業を担当している社員は1人で、播種時期には3人、肥料を散布する12月後半から3月中旬の時期には2人、収穫時期には6人と状況に応じて社員を配備しています。技術面ではそれほど問題を感じていませんが、気象条件に苦慮しています。3月後半から4月に播種しますが、播種時期に雨が降ると収穫量が激減します。
    もう1つの事業では、食品残さのほとんどを、分別するだけで飼料用として販売します。販売先の9割は養豚農家で、リキッド飼料として利用されているのです。飼料として使えなかった食品残さは、里山工場と呼ばれる堆肥製造施設に運ばれて、堆肥の製造に使われます。製造された堆肥は、エイゼンの圃場に散布され、デントコーンがつくられるのです。
どこに販売していますか?
デントコーンのロール
    酪農家2戸に販売していますが、他からも引き合いがあります。デントコーンはロールで販売しており、価格は1個1万1千円(税別)です。収穫時期によって品質にばらつきがでるので、重量単位での価格決めはしていません。
    一度使用してもらうまでは大変でしたが、使い始めてからは購入が継続しています。価格的には高いかもしれませんが、家畜糞尿の処理とセットになっているところが酪農家にとってもメリットになっています。堆肥の使用は春夏が多く、冬は少なくなりますが、家畜糞尿は大きな変化がなく一年間を通じて排出されます。そのため、冬季の糞尿処理に困る畜産農家も多いのですが、エイゼンは冬季に堆肥散布を行うため、バランスがとれるのです。また、輸入品に比べると価格が上下しないのも使いやすい理由になっています。
    畜産農家側からすると堆肥を利用してもらえるということで、抱き合わせのメリットがあります。輸入品に比べて価格の上下がないのもメリットといえます。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
デントコーンの収穫機械
    企業が農業をやるのであれば、大量生産、通年供給、人件費低減のうちのどれかに該当する必要があると考えました。エイゼンでは、デントコーンを大規模に栽培していますが、農地が点在しているため、農地を集積することが課題です。
    これから農業参入する企業のことを考えると、農業機械等への初期投資の大きさがネックになると思います。エイゼンでも農業機械の購入には5千万円を超える費用がかかりましたが、愛知県の補助事業を使うことができたので2分の1負担(2~3千万円)ですみました。それでも、10年後の農業機械の更新時期が心配です。企業に直接補助金を出すのが難しいのであれば、畜産農家への間接的な補助でもよいので、負担を軽減する対策を考えてほしいものです。
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