ハートランド 株式会社 ホームページ
なぜ農業に参入したのですか?
播種作業
    ハートランド株式会社の親会社であるコクヨ株式会社は、ステーショナリー、ファニチャー、オフィス通販、リテールを事業の4本柱とする会社です。2014年12月末の売上2930億円、社員6673名、連結子会社22社、海外では、中国、タイ、インド、マレーシア、ベトナム、シンガポールに拠点を構えています。
    コクヨ株式会社の障碍者雇用への取組は古く、昭和15年から聴覚障碍者の雇用を開始しています。これは騒音が激しい工場内で、聴覚障碍者の方が仕事をスムーズにこなせるという理由からでした。
    障碍者の職場を集中させて対応を強化するため、平成16年にコクヨKハート株式会社(特例子会社)を設立しました。そして、知的障碍者や精神障碍者の雇用には、農業が有効ということで、平成19年にハートランド株式会社(特例子会社)が創業されることになったのです。
    平成27年6月1日現在で、コクヨ株式会社グループの障碍者雇用率は2.1%を達成しました。コクヨKハート株式会社は81人中38人、ハートランド株式会社は19人中7人の障碍者を雇用しています。
どんな農業をしていますか?
苗テラス
    ハートランド株式会社は、農業生産法人の要件を満たした会社です。泉南市の農業団地「かるがもの里」内の4000㎡の農地を購入して営農を開始しました。栽培品目はサラダホウレンソウ、24時間コンピューターで制御されたハウスで減農薬栽培をしています。富山県の農家に視察に行き、障碍者を雇用して行っていたシステムをそのまま導入しました。農地の購入を含めて初期投資は約2億円です。
    定植から収穫までは、夏で14~15日、冬で26~27日かかり、平均で1日180kg、年間で52t(多いときで約55t)のサラダホウレンソウを出荷します。1袋は50~60gで、店頭価格は200円ぐらい、少量でやや高級な商品です。
    苗づくりは、もっとも重要な作業ということで、苗テラスと呼ばれる約700万円の機械を3台導入しています。福祉を理由に品質が悪いものを売ることは許されないからです。商品力で売ることを基本とするのは、社内評価でも同様です。企業が得意とするノウハウの見える化やマニュアル作成などにも積極的に取り組んでいます。
    農業で難しいのは需給調整です。自然光利用型のハウスなので、コンピューターで制御していても予定通りに生育してくれません。需要に合わせて作付をするようにしますが、それでも過不足が生じることがあります。
    平均的な就業時間は8:30~17:30、週休2日で土日に出勤したときは平日に振替休日があります。他にも地域の作業所6~7カ所から、障碍者が業務委託でやってきます。こちらにも作業や時間に応じて賃金の支払いをすることになります。また、コクヨ株式会社グループの新入社員研修やリーダー研修の場としても利用されています。
    同業他社との協力も進んでおり、福祉関連の農業参入法人8社でハートフルアグリアソシエーションという組織をつくっています。大阪府、大阪府立環境農林水産総合研究所、大阪府みどり公社からの支援も受けており、作業別内容の研究から今後の販売体制についても研究する場となっています。
どこに販売していますか?
出荷作業
    当初は、JA経由で出荷することも多かったのですが、最終消費者の顔が見えないということで、量販店等への販売を増やしてきました。現在は、総合スーパー、食品スーパー、生協、百貨店、外食産業で約7割、他にJA・卸売市場を経由して八百屋、カット野菜加工会社などに出荷しています。コクヨ株式会社グループの社員食堂にも卸していますが少量です。
    農水省の補助事業を使って、マーケティングやパッケージデザインを含めたサラダホウレンソウの加工食品(スープ)の開発もしました。有名メーカーへのOEMで製造し、品川と大阪にあるコクヨ株式会社の社員食堂で販売されています。メニューベースで5%に使用するという初期の目標も達成されました。ただし、社外に販売するのには、価格面が課題となります。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
サラダホウレンソウ
    ホウレンソウは子供に食べさせたい野菜の第一位とされていますが、サラダホウレンソウについては、一般消費者にはあまり認知されていません。また、栽培も難しいので、生産者も多くありません。
    しかし、これは競合が少ないというメリットでもあります。栽培技術をあげながら、認知度をアップしていくことが必要と考えています。実際に認知度アップのために、ホームページでレシピ集の紹介、ドレッシングのおまけをつけてサラダホウレンソウを販売、産直交流会、試食販売会の4つの試みをしてみました。この中で最も効果があったのが、試食販売会でした。
    マネキンとして派遣社員をお願いしたのですが、どの試食販売会でも同じ人を頼むようにしました。マネキンの専属化によって、ノウハウやデータがこの人に蓄積されることになります。結果的に、サラダホウレンソウに対する消費者の反応、食べ方などを報告書としてまとめることができました。
    この報告書によって、健康志向のファミリー層で、子供の野菜嫌い対策として、サラダホウレンソウが重宝されることがわかりました。消費者に響いたポイントは、「①ゆでても灰汁がでない、②簡単調理、③洗うだけで食べられる」でした。生から加熱調理まで幅広く対応しているので、主婦にとっても扱いやすく、子供にも食べやすいのです。ハートランドでは、このような特徴をパッケージに表示することで、サラダホウレンソウのPRに努めています。
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