光食品 株式会社 ホームページ
なぜ農業に参入したのですか?
工場内でのかんきつ類栽培
    光食品株式会社は、化学合成された添加物を避け、有機農産物の原材料を積極的に使用してきた加工食品メーカーです。平成12年には、有機JAS制度に基づく有機農産物加工食品の認定製造業者にもなっています。
    自社で農業をするきっかけとなったのは、平成12年に工場を移転したときでした。25%の緑地率が適用され、1000坪(約30a)の緑地を工場内につくることになりましたが、どうせならば、原材料になる農産物をそこで栽培しようということになったのです。緑地率が引き下げられたことで、工場内の緑地は約10aとなりましたが、レモンやユズなどのかんきつ類を今でも栽培しています。そして、原材料調達のための自社での農産物生産の取組は工場外に広がり、ミカン、トマトなど品目を変えながら現在も続いています。
どんな農業をしていますか?
鴨方町の水田
    平成16年頃からは、社長個人名義での農地の賃借を開始しています。原材料のミカンの出荷量が減少したことから借地した中山間地域のミカン畑約10haは、耕作放棄地で化学合成農薬・化学肥料の散布を1年以上していなかったので、有機JASの認定も受けました。しかし、集落での共同作業の関係や売買されたりするなどの理由で徐々に減少し、県外からの有機ミカンの調達が可能になった時点ですべての農地を返すことになりました。
    平成21年からは、解除条件付貸借を利用して会社で農地を借りるようになりました。しかし、数百万円の投資をして、重機で耕作放棄地を復旧した農地が5年で契約を打ち切られることもありました。
    賃借料は地域の標準よりも高めで借りており、利用権設定の契約期間は5年以上を基本としています(継続は一年更新です)。有機JASの転換期間も含めて、有機農産物として加工する期間を考えると、最低5年は確保しておきたいからです。
    現在は1.5haの農地を賃借しています。1haはトマトとニンジン、50aは借りたばかりなので有機栽培以外の農産物を実験的に栽培しています。状況に応じて他の品目も作付しますが、一旦加工して長期保管できる原料などは、まとめて生産し、一次加工して保管するということもできます。たとえば、青じそやモロヘイヤなどは、3年に1回の作付で、一次加工をして原料として保管します。
    農業を担当している者は1人で、他の業務と同等の待遇です。パートには、知的障害者の方、移住者のネットワーク組織のメンバー、シルバー人材センターからの派遣をお願いしています。露地栽培の加工用トマトでは、7~8月の収穫時期が繁忙期となるので、この間のパートの確保が重要です。
    技術的な面では大きな問題はありませんが、台風による被害が問題となっています。昨年(2015年)も台風のために原材料が不足してしまいました。台風被害の回避、労働力の平準化を考えて、コストはかかりますがハウス栽培を導入することも検討しています。
    農業機械は、トラクター、肥料散布機、ニンジンの洗浄機などがありますが、トマト用のハーベスターを導入したいと考えています。日本ではまだ製造されていませんが、欧米ではトマトの収穫機械が稼働しており、コスト削減に大きく寄与しているからです。
どこに販売していますか?
光食品の商品ラインナップ
    生産した農産物の全量を自社商品の原材料として使用していますが、商品全体に占める比率でみると1%に満たないぐらいです。実際、原材料をすべて自社生産の農産物で賄おうとは考えていません。品質は、外部調達した農産物と比較しても劣りませんが、コストを考えると必ずしも優位とはいえないからです。外部調達できるものであれば、自社生産の必要はないということです。
    自社生産の理由は、第一に原材料不足を補うため、第二に研究目的です。ミカン、トマト、ニンジンも供給が減ったことから栽培を開始しました。特殊なケースでは、チャイナフリーが消費者から求められたときです。トウガラシの中国以外からの調達が難しく、自社で対応するしかありませんでした。トウガラシの使用量は、年間100~200kgなので、自社生産での対応が実際に可能だったこともあります。
    研究目的という点では、いろいろな品種の試験栽培をしています。新しい品種を導入したいと思っても、農家を説得するのは容易ではありません。自社生産して、うまくいってから農家にフィードバックした方がスムーズに受け入れてもらえます。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
ニンジンの圃場
    農作業を合理化して、輪作体系も組んでいくことを考えると、5haぐらいまでは農地を広げてもよいと考えています。ただし、有機JASの認定を取得することが条件のため、化学合成農薬が流入してこない土地条件が必要となります。低い土地では雨で隣地に散布した農薬が流入してしまいますし、農薬の散布量が多い農地が隣接している場所も避けなければなりません。平地であるとか、まとまっているとかの通常の土地条件だけでは選べないのです。
    企業は農地を購入できないと説明しても、高齢の地権者の中には農地を取られるのではないかとの危惧があります。すでに利用権設定している地権者から隣接の農地の地権者に声をかけてもらったこともありますが、それでも貸してもらえませんでした。安定生産のために、会社での農地所有も検討する余地がありますが、出資制限が2分の1未満というような状態では農業生産法人は考えていません。
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