株式会社 果実堂 ホームページ
なぜ農業に参入したのですか?
ハウス内のベビーリーフ
    井出社長は、もともとは医薬品のバイオベンチャー企業の経営者でした。しかし、健康面で不安を抱えている人が多い現代社会の中で、予防医学の見地に立った事業展開の必要性を感じるようになり、新しく果実堂を設立しました。
    生野菜の機能性に着目しましたが、その中でもベビーリーフは、栄養価が高く、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどに富んでいます。健康によい野菜ということで、果実堂では、ウェルリーフという呼び方もしているぐらいです。
    熊本県から農業参入の話が舞い込んだことをきっかけに、果実堂はベビーリーフの生産・販売をする会社に生まれ変わったのです。
どんな農業をしていますか?
研究・開発部門
    平成18年に、農業から撤退した法人の跡地の一部(約50aの農地)を引き継ぐ形で農業に参入しました。農業参入するにあたっては、地元の先進的な農業者の方たち(株式会社コッコファームの松岡社長や株式会社福田農場の福田社長)からご指導をいただいています。
    参入当初は、福田社長が持っていた農業生産法人を利用させてもらっていたのですが、平成20年には果実堂が出資した農業生産法人(株式会社果実堂ファーム)を設立して、事業を移管しています。その後平成21年に農地法が改正されてからは、農地の賃借を果実堂が行うようになりました。
    現在の農地面積は56.5ha(うち農業生産法人の所有農地2ha)、阿蘇市の約5ha、和水町の約4haを除けば、本社がある益城町の周辺がほとんどです。この農地に400棟のハウスが建ち並んでいますが、冬季はそれでも生産が間に合わず、近所の農家から期間借地(約5ha)をして、露地栽培も行います。有機栽培を基本としていて、JASの認定も順次取得しています(現在約20haで有機JASの認定を取得済み)。
    社員は全体で150人、うち54人が正社員、約100人がパート社員です。正社員の平均年齢は30代と若く、農作業、研究・開発、事務、営業などの業務に従事しています。パート社員の仕事は、主にパッキング作業で、近所の農家のご家族も働いています。
どこに販売していますか?
高瀬式14回転ハウス
    JAや中央卸売市場でのベビーリーフの取扱いは少なく、スーパー・百貨店などの量販店、生協などに直接営業をかけています。地域的には、東京が5割、大阪が3割と大都市が中心で、熊本県内はわずか1~2%程度となります。需要が大都市中心であることに加えて、熊本県内の他のベビーリーフ生産者と競合しないためという理由もあります。
    売上げは順調に伸びており、2015年現在で約12億円、黒字も達成しています。欧米に比べると、日本のベビーリーフ生産量は少ないのですが、需要は伸びているのです。ただし、生産量が少ないこともあり、栽培技術の研究があまりされていません。
    販路を見つけたのに栽培技術がわからずに生産が追いつかないというのが農業参入した当時の実情でした。その後、自力で研究・開発するしかないと決めて、5000~10000回のベビーリーフ栽培のデータを収集・分析し、温度・湿度の管理、作業効率を改善していきました。その甲斐があって、3年を経過した頃から栽培技術が安定してきています。
    企業参入というと、膨大な設備投資をしているイメージがありますが、果実堂では借りた農地にある既存のハウスを利用するなど、徹底的に無駄なコストを省いています。その上で、必要な投資はするというスタンスです。果実堂では、ベビーリーフを1年間に10回転していますが、それを14回転に増やせる新型のハウス(高瀬式14回転ハウス)を約20棟設置しました。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
工場内での出荷作業
    56.5haという広大な農地ですが、一足飛びに借りられたわけではありません。最初は不審な目で見られたこともありましたが、地域の集まりや草刈りなどの活動には積極的に参加し、農家の家族を雇用したり、ベビーリーフの収穫やハウスのビニールの開閉作業などを農家に委託して賃金を払うなどしていく中で、次第に信頼関係が築かれるようになってきています。共済や金融を通じて、JAとの関係も良好です。農業委員会にも、積極的に農地の仲介に関わってもらっています。
    信頼関係を築くために、時間をかけて努力するということは、農業に限ったことではありません。どんな産業でも同じであり、それを怠ってはいけないということです。
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