株式会社 くしふるの大地 ホームページ
なぜ農業に参入したのですか?
旧三重農業高校重政農場
    もともとは福岡に本拠地を構えるラーメン店「博多一風堂」を展開する株式会社 力の源カンパニーが外食産業に農産物を供給することを目的に2009年に農業生産法人を設立して竹田市に農業参入したのがはじまりです(久住農場)。参入の場所に竹田市を選んだのは、同市が標高700メートルにある性質上、晩と日中の温度格差が発生し、農作物の甘味や実のしまりが良くなるという特徴があったためです。その後、2015年に豊後大野市の旧三重農業高校跡地も活用し、現在では2つの農場を併せて約20ヘクタールの農地でキャベツ、レタス、ジャガイモ、トマトなど10種類以上の野菜を周年栽培しています。
    あえて農業生産法人としたのは、「地域に根を下ろした農業経営がしたい」と思ったからです。私たちは、地域資源や文化を大切にしながら、「農業=人」をモットーに地元農家や企業参入した仲間と共に「地域に貢献できる農業生産法人」に成長していきたいと思っています。
どんな農業をしていますか?
重政農場に広がるキャベツ畑
    これまで竹田市内の久住農場で約8ヘクタールの農地で野菜を栽培しており、市の農業委員会を通じて利用権設定を行いました。経営面積は、露地で7.8ヘクタール、ハウスで0.35ヘクタールとなりますが、通年出荷の体制を確立するため、農地面積を拡大することにしました。場所は豊後大野市にある閉校した旧三重農業高校重政農場で、面積は12ヘクタールほどになります。所有する主な農業機械としては、トラクター3台、農薬散布機1台、管理機1台、野菜移植機1台などとなっており、購入にあたっては親会社の出資と県単事業(企業等農業参入促進事業)を活用しました。
    現在、重政農場では、スイートコーン、キャベツ、サトイモなどを栽培しており、初年度となる今年は売上高約1500万円を目指しています。15年度の主な野菜の生産実績としては、スイートコーン4トン、キャベツが6トン、サトイモ2トン(いずれも収穫高) となっています。
    人員の面では、作付け計画から栽培管理、出荷・販売に至るまで20代~40代の男女7名体制(常時雇用)で全てをまかなっています。各セクションに責任者を置き、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)といった4 段階を繰り返すことによって、生産管理や品質管理の業務を継続的に改善しています。
    また、利益の向上という観点から言えば、適正な価格で販売し、利益を生み出すには「原価計算」なしには考えられないと思っています。まだ開発段階ですが、大手のメーカーと共同で原価計算ができるソフトを作っています。これはICT(情報通信技術)を活用し、栽培管理などの面で誰が、いつ、どんな作業をしたかを入力することで、原価計算できるものです。事業の「見える化」にもつながり、バイヤーさんにも「これだけの手間がかかっているからこの価格なんだ」という説明も明確にできます。将来的には、こうしたデータを活用し、生産基盤の拡大を図りながら、「数年後を見据えた営農計画」で早期に黒字転換できるようにしていくつもりです。
どこに販売していますか?
ハローデイに並ぶ阿河さんの野菜
    生産した野菜は、親会社にも卸していますが、そのほとんどを北九州中心にスーパーマーケット事業を展開している「HalloDay(ハローデイ)」で販売をしています。ここは、店内や商品のディスプレーに工夫を凝らし、アミューズメントパーク化していることが特長で、客を楽しませる仕掛けが随所に見られるのが特徴です。これが、私たちの目指す「地域によろこばれる企業になる」という理念にうまくマッチしました。
    親会社がラーメン店を展開していることからすると、普通であれば「内部流通」を第一に考えているイメージがあると思いますが、農業事業で独り立ちしていくため、「外部流通」を中心にしています。農業のこれからを考えれば「外部から認められる農業生産法人」にならなければ、真の生産者にはなれないと思っています。
    今後は、重政農場にある施設を改修し、地元農家の皆さんと一緒になってファーマーズマーケットを展開ができたらと考えています。これにより、生産者として自ら販売まで手がける完結型の農業生産法人に成長していきたいと思っています。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
農業大学校の学生を対象とした
インターンシップ
    以前から食の大切さを知ってもらうことの一環として、福岡県内の小学生を対象にした農業体験や農家民宿を行ってきました。
    そうした取り組みが評価され、2015年5月に、親会社である力の源カンパニーが県立農業大学校(豊後大野市)と人材育成に関する連携協定を結びました。国内外で多店舗展開する企業の人材や施設を活用して、農業大学校では経験できないカリキュラムを実施し、社会人としての意識や経営感覚を持った即戦力となる担い手を育てていきたいと思っています。
    インターンシップなどの研修を受け入れるほか、学生の雇用や、その後に独立就農する場合の支援などに取り組んでいきます。多くの学生を受け入れることで有能な人材の確保につながりますし、研修の経験者が各地に就農すればネットワークが広がっていきます。
    同年6月には、竹田市にある施設でも研修を実施しており、シェフやバイヤーと接したり、企業的な農業経営を目の当たりにしたことで、学生も意欲的になったのではないでしょうか。今後は店舗で野菜を調理するなど、より消費者に近い場での研修も検討していますし、こうした取り組みを通じて農業に「熱」を持った若い担い手が増え、地域に根付いてくれることを期待します。
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