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なぜ農業に参入したのですか?
株式会社知久の惣菜工場
株式会社知久は、惣菜の製造・販売を主な事業とする会社です。社長の、「自分の子供に食べさせても安心な惣菜を造ろう」という考えから、基本的なスタンスとして、添加物を使わない惣菜づくりを掲げています。
また、安全でおいしい惣菜のために、農業についても「旬のおいしい、新鮮な野菜」「化学合成農薬を使用しない」「化学肥料を使用しない」「有機肥料で栽培する」という目的を持っていることから、2005年に静岡県下初の農業構造改革特区により農業に参入することになりました。
どんな農業をしていますか?
ビニールハウス内(ネギ)
最初に賃借した農地は耕作放棄地で、時間・資金・労力をかけて開墾しましたが、2010年代になると農地が借りやすくなり、規模拡大が進むようになりました。現在は、利用権設定で19haの農地を賃借し、そのうち1haの面積に、温室4カ所を設置(実面積60a)しています。
特区や特定法人貸付事業で借地していた農地も、2016年までにすべて解除条件付き貸借の利用権設定に移行しています。農地は散在していますが、1か所が車で20分(距離にして15km)と少し離れている他は、概ね6分程度の場所にあります。
初期の頃は、担当者2人で、試行錯誤を繰り返していました。自然農法に取り組んでみたり、店舗の生ごみの堆肥化に挑むなどしましたが、成功といえるレベルまで到達することができませんでした。
2010年から農業担当の社員を募集し、現在は小澤さんを含む9人が農業に従事し、他にパート20人がいます。また、1ヶ月半ぐらいの期間ずつ交替で、何人かの社員を有限会社トップリバーに研修に出し、栽培方法も実際に流通できる農産物をつくる方向に近づけていきました。堆肥の散布や収穫作業を福祉施設に業務委託することも始めています。その甲斐があって、現在は生産状況が安定してきています。
有機JASの認定を取得している圃場も6~7カ所に分散していますが、約2ha(ハウス含む)あります。認定を取得していない圃場の農産物と区別するために、ハーブ類など特定の作物を作付けしたり、同じ作物でも区分して使用しするようにしています。
有機JASの認定のように対外的な評価を得ることは必要ですが、緩衝地帯の問題などがあって、すべての農地でそれをすることができません。そのため、有機JASの栽培方法に準拠した形で、社内基準を作成し、これをすべての圃場で実施するようにしています。
どこに販売していますか?
本社工場
ダイコン、小松菜、ネギ、リーフレタスなど、惣菜の原材料になる約40種類の野菜を栽培していますが、生産した農産物は、自社の商品の原材料として使用されます。農業部門の実績は市場価格から算定しており、野菜の原材料比率でみると、自社が3割、残りが外部からの買入で、県外が3割、地元農家・仲卸が2.5割、卸売市場が1.5割です。以前は、仲卸からの買入が8割とほとんどでしたが、農業参入したことで、県内外の農業者との関係も広がりました。
最終商品の売上に合わせて、生産量を調整し、原材料比率はほぼ一定になるようにしています。現在は、売上が上昇しているので、生産量も上がっています。余剰農産物が生じた場合には、通信販売や店舗販売を利用したり、また惣菜の新メニューを作ることで販売していますが、農業部門での簡単な加工(乾燥野菜)や直接販売(外部販路)も模索中です。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
ビニールハウス内(ミニトマト)
自社栽培の原材料を使用した惣菜については、自社ブランドや有機JASの商品として、販売することもあります。しかし、自社での全量供給を目指しているわけではなく、農産物の種類・量に応じて、外部の農家とも互いにメリットのある取引をしていきたいと考えています。
たとえば、鮮度が重要なブロッコリー、コマツナ、トマトなどは、浜松市内の専業で規模が大きい農家から購入し、直接工場に搬入してもらいます。ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなど根菜類は、北海道産が質もよく、量も確保できるので、わざわざ自社でつくるよりも購入した方が得です。
そういう意味で、北海道、鹿児島県、関東などの生産者からも仕入れを行っています。逆に、これらの産地の端境期や品質が落ちる時期には、自社があえて栽培する必然性がでてくるのです。
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