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なぜ農業に参入したのですか?
九鬼産業株式会社のゴマ圃場
九鬼産業株式会社は、明治19年に創業したごま油、食品ごま、ねりごま、ごま加工品の製造を行うごまの総合メーカーです。
農業参入のきっかけは、三重県大紀町および岐阜県下呂市にある林業部で行われたごま油の製造過程で生じる澱(おり)や搾り粕、表皮などを堆肥化する取り組みでした。1999年には、ここで製造した堆肥の効用試験を兼ねて、ゴマ栽培を開始しました。
2006年4月には、林業部周辺の大紀町と岐阜県下呂市の農地を賃借して、農業生産法人有限会社九鬼ファーム(2011年より九鬼ファーム株式会社)を設立しました。同年9月には、特定法人貸付事業により、四日市市と九鬼産業株式会社の間で協定を締結し、三重県下初の一般企業による農業参入も果たしました。
ごま
どんな農業をしていますか?
ゴマの収穫作業
九鬼ファーム株式会社の職員を兼ねている大紀町と下呂市在中の林業部社員が農業に従事しています。また、収穫した作物を利用した自社製品の開発など商品開発にも関わってくることから、開発部の社員も協力しています。他に5~9月のゴマの栽培期間は、ゴマの圃場整備から収穫までの一連の作業を新入社員6~8人が研修の形で従事します。
特定法人貸付事業で賃借した60aは2015年で解約しましたが、九鬼産業株式会社と九鬼ファーム株式会社を合わせて、大紀町4ha、下呂市1.9haの農地を賃借しています。ニンニクや緑肥等、輪作体系を取っており、2016年度のゴマ作付面積は大紀町60a、下呂市60aとなっています。
どこに販売していますか?
九鬼産業株式会社のごま製品
栽培したゴマは、九鬼産業のごま製品の原材料として使用されます。九鬼産業でのゴマの使用量は年間約25000トン。主に海外からの輸入原料を使用しており国産原料は年間10~20トン程しかありません。
九鬼産業で製造された商品は、卸売業者を通じて全国の小売店に販売されていきますが、国産原材料を使用した商品については、関東地方を中心とした高級スーパーや生協等のこだわりを持った小売りルートで販売されています。これらのルートで販売される国産原材料を使用した商品の需要は、現状の供給量を大きく上回っており、今後さらに国産ゴマの入荷量を増やしたいと考えています。
鹿児島県、長崎県、茨城県の産地から、ゴマを買い入れていますが、不作の年もあって、国産原材料の入手は厳しい状況です。地元三重県内での生産拡大を求めて、県庁の農林水産部と協力して、福祉事業所(障がい者施設)との連携(農福連携)による取組を開始しました。2014年は10aでしたが、2015年は6事業所が参加して1haとなりました。
2016年には、大規模農家(稲・大豆作)も参加し、自社の農地も含めると8haとなり、2017年は20ha、最終的には100haを達成することを目標としています。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
農地を拡大しようとすると、人も増やさなければならないので、コスト面で見合いません。自社で農地を拡大するよりも、現在行っているように地域内でグループをつくって、生産量を増やしていきます。ただし、自社生産でしかできない試験的な取り組みもあるので、農業から撤退することは考えていません。実際、ゴマ栽培の経験がない大規模農家や福祉施設に基本的な栽培技術を教える役割を自社農場が果たしています。
逆に、大規模農家が使用する機械等で、ゴマ栽培に応用できるかもしれないものを知ることができました。また、福祉施設の丁寧な手作業は、ゴマの異物除去などにも向いていることがわかりました。地域内での連携から、これまでの自社のみの取り組みではなかった新たな可能性が生まれてきています。
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