株式会社安心院オーガニックファーム Facebook
なぜ農業に参入したのですか?
安心院町のビニールハウス1
安心院オーガニックファームの母体である有限会社むらおかは、有機農産物の集荷・卸を行う会社です。有限会社むらおかの営業担当であった村岡さんは、2009~2010年頃、関東の産地からの集荷拠点を築く目的で上京していました。
ところが、2011年の東日本大震災によって状況が一変します。福島第一原発事故の影響により、関東の農産物の販売が低迷することになったのです。逆に、九州の産地からの農産物の引き合いが強くなったため、急きょ九州での産地開発をすることになりました。
関東で知り合った株式会社TKF(現在の株式会社HATAKEカンパニー)の木村社長がこれに協力してくれることになり、九州での農業生産法人の設立に向けて動き出します。農業参入への支援が充実している大分県に相談して農地を探したところ、安心院町に、まとまった農地を確保できることになりました。
当初は、農業生産法人の代表取締役を木村社長にお願いする予定でしたが、現地での農業従事要件を満たせないことがわかりました。そのため、村岡さんが代表取締役となり、有限会社むらおかと株式会社TKFの共同出資で設立することになったのです。
どんな農業をしていますか?
安心院町のビニールハウス2
2013年、3.7haの農地(安心院町3haと臼杵市70a)を賃借して、農業生産法人株式会社安心院オーガニックファームを設立し、国と大分県の補助を受けて、安心院町の農地にハウス2haの造成を開始しました。臼杵市の農地は、高速道路を利用しても、安心院町にある事務所から1時間以上かかる場所でしたが、ハウスがすべて完成するまでの2年の間の収入を確保しなければならなかったこと、臼杵市が有機農業を推進していたことなどの理由から賃借しています。
2017年現在、賃借している農地は安心院町を中心に20haに拡大しています。10a~1haと面積にばらつきはありますが、事業所から車で5分以内の場所にかたまっています。
従事者も、村岡社長を含む3人から、正社員5名、パート・アルバイト24名、外国人研修生3名に増えました。栽培品目の中心は、ベビーリーフですが、ミニトマトやズッキーニなど果菜類の試験栽培も行うようになってきています。
肥料の原料には、地元企業の焼酎粕、学校給食センターからの食品残さ、量販店・ホテルなどからの食品残さ、畜産農家からの牛糞・鶏糞などの地域資源を利用しています。
どこに販売していますか?
ハウス内のベビーリーフ
生産した全量を、親会社の有限会社むらおかに出荷しています。村岡さんは、有限会社むらおかの営業も兼ねていますから、安心院オーガニックファームの販路確保イコール有限会社むらおかの販路確保でもあります。有限会社むらおかと主に取引があるのは、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県の生産者であり、これらの産地から集荷した農産物は、福岡県と関東地方を中心に出荷されていきます。
とくに、東京を中心とした関東地方でのベビーリーフの需要は高まっています。重量換算で運賃が決まるため、ベビーリーフのような重量が軽い商品であれば、現在使用している航空便でも採算が合います。福岡と関東で、リードタイム(発注から納品までの時間)も変わりません。
安心院オーガニックファームも現在4期目に入りましたが、売上げの目標は10期目で5億円を掲げています。九州産の農産物の引き合いは依然強いため、販路に困るような状況は生まれていません。今後も生産力をあげていく必要がありますが、面積は30haぐらいまでが限度と考えており、ハウスを増設して回転率をあげていく予定です。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
農業生産法人を設立した背景としては、九州の農産物に対する需要の増加に対して、現在の九州の既存の農家にこれ以上の生産力の増加が見込めないことでした。関東の法人は、大規模化・企業化していますが、九州ではそこまで至っていません。産地をまわっても規模拡大が見込めないのが現状です。九州の農産物の需要が伸びてきたのに、供給が伸びない中で、自らが生産者となることを選びました。規模拡大をする手段としては、貸借でも、所有でもどちらでも構いませんが、ハウス施設がついていないのであれば、あえて購入までは考えません。
有機農産物にこだわって生産しているので、認定も取得しています。現在の認定取得面積は、10haとなっています。規模拡大していく中で、転換期間などもあり、取得できていない圃場もありますが、栽培の仕方自体はすべての圃場で同様です。
また、J-GAPの認定も取得しています。5S等の取組を自主的に進めてもよいのですが、社内のチェックだけでは限界があります。J-GAPの認定を取得すると年1回は外部から検査が入り、指摘を受けることになるので、作業内容を見直すよいきっかけとなります。
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