なぜ農業に参入したのですか?

植物工場では、気温管理、湿度管理、
溶液内の肥料、溶存ガスの管理
が行われている。
植物工場でレタスの水耕栽培に取り組んでいる株式会社ひむか野菜光房は、2012年6月に株式会社日向中島鉄工所(日向市)、日之出酸素株式会社(延岡市)と門川町の農家との共同で設立されました。
農業は天候変動で生産量や価格が大きく変わり、労力に比較して所得が安定しない大変な仕事ですが、(株)日向中島鉄工所が持っている“ものづくり技術”や“企業経営のノウハウ”を生かせないかと考えたのが始まりです。工場のように計画的に安定した品質の野菜を生産し、年間を通して新鮮な野菜を安定的にお客さんに供給するビジネスモデルを確立することで、地域の農業に貢献できるのではないか、また、そのビジネスモデルを地域の方々や新規就農者に提供することで、農業に携わる方々が安定した収益を得ることができるのではないかと考えたのです。
当初、こういった考えに賛同してくれる農家は少なく、共同で野菜工場を経営しようという話には誰も賛同してくれませんでした。
宮崎県北地域で工業会の次世代のリーダーを育成する塾がありました。その塾では、県北の産業振興ビジョンを作ると共に、人財を育成するため、理論や知識の勉強だけでなく、リスクをとって起業にチャレンジし、事業を産み出すことが必要だと考えていました。そこで塾の研究会の一つとして、『野菜工場研究会』を立ち上げました。研究会のメンバーの一人で魚の養殖の溶存酸素による生育促進などを研究していた日之出酸素(株)の柳田淳さん(現・ひむか野菜光房 代表取締役)が一緒に事業化を検討してくれました。
同じ頃、水耕栽培をテーマにした『養液栽培研究会』に参加して知り合った農家・森雅也さん(同取締役)が考えに賛同し、仲間に加わりました。森さんは、脱サラをして地元で高糖度のトマトを生産販売しています。また、森さんの紹介で、溶液栽培の専門家であり、ブルーベリーの生産加工販売をする会社の役員である嶋本久二さん(同取締役)も加わり、門川町に野菜工場を立ち上げることとなりました。
異業種の4人がそれぞれの知識・経験・技術を持ち寄り、野菜工場の運営に必要なノウハウを提供していることが、このプロジェクトが着実に前進をしている大きな要因です。