株式会社ひむか野菜光房 Facebook
なぜ農業に参入したのですか?
植物工場では、気温管理、湿度管理、
溶液内の肥料、溶存ガスの管理
が行われている。
植物工場でレタスの水耕栽培に取り組んでいる株式会社ひむか野菜光房は、2012年6月に株式会社日向中島鉄工所(日向市)、日之出酸素株式会社(延岡市)と門川町の農家との共同で設立されました。
農業は天候変動で生産量や価格が大きく変わり、労力に比較して所得が安定しない大変な仕事ですが、(株)日向中島鉄工所が持っている“ものづくり技術”や“企業経営のノウハウ”を生かせないかと考えたのが始まりです。工場のように計画的に安定した品質の野菜を生産し、年間を通して新鮮な野菜を安定的にお客さんに供給するビジネスモデルを確立することで、地域の農業に貢献できるのではないか、また、そのビジネスモデルを地域の方々や新規就農者に提供することで、農業に携わる方々が安定した収益を得ることができるのではないかと考えたのです。
当初、こういった考えに賛同してくれる農家は少なく、共同で野菜工場を経営しようという話には誰も賛同してくれませんでした。
宮崎県北地域で工業会の次世代のリーダーを育成する塾がありました。その塾では、県北の産業振興ビジョンを作ると共に、人財を育成するため、理論や知識の勉強だけでなく、リスクをとって起業にチャレンジし、事業を産み出すことが必要だと考えていました。そこで塾の研究会の一つとして、『野菜工場研究会』を立ち上げました。研究会のメンバーの一人で魚の養殖の溶存酸素による生育促進などを研究していた日之出酸素(株)の柳田淳さん(現・ひむか野菜光房 代表取締役)が一緒に事業化を検討してくれました。
同じ頃、水耕栽培をテーマにした『養液栽培研究会』に参加して知り合った農家・森雅也さん(同取締役)が考えに賛同し、仲間に加わりました。森さんは、脱サラをして地元で高糖度のトマトを生産販売しています。また、森さんの紹介で、溶液栽培の専門家であり、ブルーベリーの生産加工販売をする会社の役員である嶋本久二さん(同取締役)も加わり、門川町に野菜工場を立ち上げることとなりました。
異業種の4人がそれぞれの知識・経験・技術を持ち寄り、野菜工場の運営に必要なノウハウを提供していることが、このプロジェクトが着実に前進をしている大きな要因です。
どんな農業をしていますか?
水耕栽培しているレタスの様子。
 太陽光活用型野菜工場で、葉物野菜を作っています。天候の影響を受けにくく、品質は安定しており、年間を通して、安定的に一定量作ることができるのが野菜工場の特徴です。1日に8,000株を生産し、九州全域はもちろん、広島・岡山・大阪まで出荷しております。市場は露地物の出荷量に左右されますが、当社は年間を通じて安定した出荷量と値段を維持しています。
敷地面積は1万㎡、栽培面積は6600㎡。ここに岸本政彦農場長をはじめとする5人の社員と30人以上のパートで運営しています。野菜の栽培に必要な日射量ときれいな水を得るために、地元の五十鈴川の近くの地下水が豊富で、広い敷地を得られる現在の場所を選びました。地元の地権者の方々から農地を借用しています。
ハウス内の日射量や気温、湿度、二酸化の量を管理しています。ハウス内の環境制御に加えて、加温設備や自動移植装置、その他省力化機械も導入しています。また、宮崎県のご指導のもと、微生物農薬などで病害虫の発生を抑えています。
これらの施設は、県の「農商工連携ビジネスモデル創出事業」に認定されており、県からも補助金のみならず、モデル事業として注目をして頂き、多大なご支援を頂いています。
どこに販売していますか?
九州全域の小売店や飲食店から、遠くは広島、岡山、大阪まで出荷をしています。農業技術はもちろんですが、生産管理や販売管理、労務管理など、企業型経営を進めていることで、安全・安心な野菜の生産を行うと共に販売との連携の仕組みを構築して、お客様の需要に柔軟に対応して、直接契約を結んで販売をさせて頂いています。夏や冬の葉物露地野菜の栽培が難しい時期は、出荷量を増やして欲しいという注文や新規の取引を希望されるお話など、生産量を大きく上回る引き合いがあります。まずは、この出荷量を維持しながら、長く安定的にお取引をして頂けるお客様との信頼関係を大事にしていく方針です。
取組の特徴や課題などを教えていただけますか?
出荷作業中の様子。
社員やパートさんの意見で、
作業内容の見直し・改善が進められ、
常に効率的な生産が行われている。
人材育成が課題です。農業技術だけではなく、会社の運営や業務の改善、社員の労務管理など、様々なことをできる従業員を育てなければ、と考えています。
農場では、社員のみならず、パートさんからも常に作業内容について意見が出され、改善を進めて、生産やあらゆる業務の効率化が進んできました。
ひむか野菜光房を立ち上げた日向中島鉄工所の経営理念は「信用第一」です。日向中島鉄工所はこれまで様々な物作りに係わってきました。特に、宮崎の地場産業である「発酵醸造機械(自動製麹装置)」や「食肉処理機械(牛・豚・ブロイラー処理)など、食品産業向け機械・設備の製造が、その発展の礎であり、今後も柱であることには変わりありません。「食」に関する仕事が、事業の根幹であり、農業参入につながっています。
今後は、さらに、野菜工場に関連して、出荷から輸送・店頭まで、野菜の鮮度を落とさないようにする保管庫や、バイオマス由来の原料を燃焼させる温水器、苗の移植・定植のためのロボットなど、農業分野の作業効率化や収益改善のための機械の開発を進めています。
「ものづくりを通じて、地域に貢献し、人財(人材)を育てる」。ひむか野菜光房を中心に、産学官金、農商工の連携を産み出し、地域経済の善循環を作って参ります。
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