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相続未登記農地等の活用 担い手へ集積・集約する視点で検討を

 近代日本の法律第1号は、1886年に公布された「登記法」だ。大日本帝国憲法、民法に先行。1899年に「不動産登記法」に引き継がれ現在に至る。その国家の根幹の制度が揺れている。
 農水省が昨年、実施した実態調査によれば、相続未登記農地が47.7万ヘクタール、相続未登記のおそれのある農地が45.8万ヘクタール、合計93.4万ヘクタール、わが国の農地の2割に達する。
 それに対応した現行の仕組みには農地法に基づく公示制度や基盤法に市町村の公告による利用権設定などの措置はある。だが、公示制度は手続きに要する時間が長期にわたる。青森県五戸町農業委員会がこの制度を活用して農地中間管理機構を通じて担い手に農地を貸し付けたが、実に2年3カ月を要した。
 今年6月、政府は骨太方針に長期間登記が未了の土地の解消を図る方策について関係省庁一体となって検討し、必要な法案の次期通常国会への提出を目指す旨明記した。農水省も意見交換会を立ち上げ精力的に検討している。全国農業会議所も5月の全国会長大会で相続未登記農地の対応策の検討について決議し、6月には農相へ政策提案を行った。
 担い手に農地の8割を集積するなど、農地利用の最適化に向けた政策課題を踏まえると、検討に当たり二つの視点が重要になる。一つは現在耕作されている農地の耕作の継続を図る観点から所有権を侵害せず、第三者へ耕作が容易に引き継げる仕組み。さらに新たな制度の運用に当たっては、現場に過度の事務手続きの負担を強いることのない仕組みだ。現行の「過失がなくてその農地の所有者等を確知することができないとき」に要する事務手続きの要件より簡便であることが必要となる。
 財産権を尊重しつつも相続未登記農地を農地中間管理機構を活用して担い手へ集積・集約が進む観点での検討が望まれる。

 [2017-10-20]