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飽食下での食料自給 6割が海外依存、国産を買う意義

 国連食糧農業機関(FAO)は9月中旬、飢えに苦しむ「飢餓人口」が2016年に8億1500万人と公表した。武力紛争や気候変動によって、前年から3800万人の増加。ここ数年の回復基調から一転、11年ぶりに悪化した。
 8億1500万人といっても実感が湧きにくいが、これは世界人口の11%。9人に1人が食べるものがなく困窮しているのだ。子供への影響も見逃せない。5歳未満に限っても、身長が伸びない発育阻害が1億5500万人、体重が軽過ぎる消耗症が5200万人もいる。世界の食料事情はあまりに不安定だ。
 「飽食の時代」にある日本では、食料不足を実感する機会がほとんどない。スーパーやコンビニにはでき上がった食べ物が24時間並び、飲食店に入れば好きな料理を食べることができる。
 ただ、こうした状況も足元はもろい。食料自給率は低水準が続き、2016年度はカロリーベースで37.58%と過去2番目に低かった。再生利用可能な荒廃農地をフルに使っても、米・小麦・大豆中心の作付けでは、国民の食料をまかないきれないという農水省の試算も出ている。国内生産だけでは食料不足となり、摂取する栄養価の6割以上が海外依存という不健全さだ。
 さて、収穫の秋を迎え、11月を地産地消月間とする自治体は多い。地元のものを地元でという、昔から続く消費行動は、地域の農業を地域で支えるという共通認識とともに、改めて全国に定着した。こうした取り組みが国の食料自給を足元から支えている。
 食料自給率をさらに上げていくためには、国民の理解が欠かせない。価格面では輸入品に太刀打ちできないことを分かってもらい、買って支えるという行為に意義を見いだしてほしい。近年は生産サイドに生産費引き下げの努力を求める風潮が強いが、販売価格が上がらなければそんな努力も無に帰してしまう。

 [2017-11-3]