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農政解説

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農政対談(上) 農地制度の在り方 非現実的な農地法撤廃論 「破壊的提言」に有識者2人が反論

 企業の農地所有を狙い、経済界から農地制度について、まさに「破壊的な提言」が突きつけられている。日本経済調査協議会(日経調)は5月、農業経営者の能力発揮を阻害しているとして、農地法の撤廃や農地関係法令の一本化を提言した。農地中間管理事業が再来年に見直しを迎える中、今後、農地制度にも検討が加えられる見通しで、こうした非現実的な提案が再び勢いを強める可能性もある。日経調の提言や今後の農地制度の在り方をテーマにして、(公財)すかいらーくフードサイエンス研究所理事長の入澤肇氏と弁護士の睫攜氏が対談した。(2回連載)

――日経調の提言を見た感想は

【入澤】農地関係の制度を一つの法体系にまとめて簡素化と主張しているが、「1法律1目的」という約束事を知らないのだろう。なぜ法律は1目的なのかというと、行政行為に不服な人が請求権を行使して損害賠償請求や行政行為の差し止め請求をして訴訟になった場合に、個々の条文が目的に則して必要か十分か適切であるかなど、行政行為の妥当性を判断する必要があるからだ。提言が指しているであろう4法(農地法、農業経営基盤強化促進法、農業振興地域整備法、土地改良法)は、それぞれに立法目的を持ち、違った役割がある。それをなんで一本化なんてことが言えるのかと憤りすら感じる。

【睫據曚海Δ靴燭海箸鮓世人たちは「制度信仰」が強すぎる。農地が流動化しない、農地中間管理機構に思うように農地が集まらないなど具合が悪い状況があると、原因の実態分析をせずにすぐに制度が悪いと決めつける。悪いのはすべて農地法のせいだとする「農地法憎し」という先入観もあるのだろう。本当はそれよりも、地域で話し合って、どうすればうまく進めることができるのかということこそが肝心なはずではないか。

【入澤】そう、彼らは法律ですべてが決まると思っている。法律は簡にして要を旨として書かれている。余計なことは書かない。ただし、農業競争力強化支援法は例外。それをどうやって実行していくのかが運動論で、法律と運動論を合わせて論じないといけないのに、提言には観念的なことしか書いていない。

【睫據杣詑崚なものをどうするかというところがない。制度というものは、現実実態の把握と分析の上に立って構築されるべきもので、短絡的な観念論ではダメだ。提言は非現実的なものと言わざるを得ない。

写真上=弁護士 睫攜

写真下=(公財)すかいらーくフードサイエンス研究所理事長 入澤肇

 [2017-11-10]