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TPP11署名 慎重かつ十分な国会審議を

 米国を除く環太平洋連携協定(TPP11=CPTPP)参加11カ国は8日、チリの首都サンティアゴで署名式を開いた。これにより協定内容が確定。今後は各国が国内手続きに入ることになる。かつてない高水準の市場開放がまた一歩、現実に近づいた。
 齋藤健農相は今国会の所信表明で「重要5品目を中心に関税撤廃の例外など必要な国境措置を確保した」と述べ、合意内容について農林漁業者に説明を尽くす考えを示した。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も合意に至る中、生産現場は先行きに不安を抱いている。農相の言葉通り、政府には現場に寄り添った丁寧な説明を求めたい。
 TPP協定は、2017年1月に米国のトランプ大統領が離脱を表明。いったん暗礁に乗り上げたが、米国抜きの枠組みに切り替え、昨年11月に大筋合意した。新協定では、12カ国での合意内容から知的財産分野を中心に22項目を凍結。日本の農林水産物は、82.3%の関税を撤廃する。
 今も多くの関係者の腹に落ちないのは、政府が1月に発表した影響試算だ。「国内対策で引き続き生産や農家所得は確保され、生産量は維持される」としているが、東京大学の鈴木宣弘教授は「政府の試算は恣意(しい)的で国内対策の検討に使えるものではない」と本紙に寄稿している。われわれはTPPとどのように向き合えばいいのか。
 日米経済対話の行方も気がかりだ。自由貿易協定(FTA)交渉となった場合、TPPなど既存の経済連携に加えて、さらなる市場開放を余儀なくされる恐れはないか。
 一方、トランプ大統領はTPP復帰の可能性に言及しているが、再交渉となれば、日本の農林水産物が標的となるのは必至だ。断固拒否を貫く必要がある。
 政府は今国会にTPP協定案と関連法案を提出する方針だが、多角的な視点から慎重かつ十分な審議を求めたい。

 [2018-3-23]