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農政解説

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より良い最適化へ どう活動 推進委員と農水省幹部が座談会

 農林水産大臣賞を受賞した3人の農地利用最適化推進委員は表彰式のあった2日、大澤誠経営局長ら農水省幹部と省内で座談会を行った。「農地利用の最適化」に向けて、推進委員の在り方や抱える課題などについて意見を交わした。

 稲垣 推進委員になってまずはどういったことから取り組まれたのか。

 藤田 もともと銀行員だったので、農業には関わりがなく、農地利用の最適化や農地中間管理事業、人・農地プランを勉強することから始めた。分かってみると農家にプラスになることが多く、こうした制度のメリットを知ってもらう必要を感じた。特に、機構集積協力金の経営転換協力金は期限を過ぎると交付単価が下がるという状況だったので、自分の担当する地域には絶対に知らせなければいけないと考え、説明会と座談会を地区別に開いた。

 虎澤 私は推進委員になる前に11年ほど農業委員をやっていたこともあり、農地の集積では、地域の皆さんで気持ちだけ決めてもらえれば、事務的な手続きはほとんど事務局の方でやってくれるということが分かっていた。それでまずは自分の集落からやろうという話をして、そこがスタートになった。

 西山 私の地元の地区は法面(のりめん)が3〜4メートルもあるような場所。4年ほど前に集落営農組織を立ち上げ、中山間地域等直接支払や多面的機能支払なども利用しながら、地区から遊休農地は出さないという気持ちでやってきた。推進委員になってからは農業委員と推進委員の全員が行う「一人一筆解消運動」で遊休農地の再生に取り組んだ。

 大澤 藤田さんと西山さんは農業委員会活動が初めてということで、推進委員の活動を始めたときに何をモットーにしたのか。

 藤田 自分の地域には責任があるという気持ち。他の地域では受けているメリットを自分の地域だけ受けられないということがあってはならない。後は、農家に説明するときには難しい言葉を使わないように意識している。

 西山 月に1回、農業委員と推進委員で会合を開き、地域や農地の状況などの情報を共有している。その場こそが推進委員としての活動方針を決める場になった。

 柚木 皆さん、やはり話を聞いてもらうという点から活動が始まっていると思うが、人を集める上での工夫などはあるのか。

 藤田 私は農家ではないため、始めたときは誰が農家か分からなかった。そこで説明会の案内を各区長から農家に回覧で回してもらった。そうやって地域に協力してもらいながら、農家を知っていった。

 虎澤 まずは下準備として大規模農家や地区の代表になりそうな人に話を通すようにしている。説明会を開くときは、農家組合長から集落に案内を出してもらっている。

 西山 若い人をどうやって取り込んでいくかというのがうちの地区の課題。幼稚園や小学校、PTAが行うバーべキュー大会に参加して、そこで若い人を直接誘うというやり方もしている。

 田 活動をしていて困ることも出てくると思うが、一番の相談相手は誰になるのか。

 藤田 当初は農地中間管理機構の制度で分からないことが多かったので、中間機構の地区担当者に進め方などのアドバイスをもらった。後はやはり農業委員会事務局と市の農林課に相談している。

 虎澤 制度上のことは、事務局や市の担当課に確認する。ただし、最初は農家同士で話をするので、その段階ではあまり事務局には来てもらわない。ある程度の道筋がついたら、事務局に引き継ぐことが多い。

 西山 月1回の定期会合の他、問題などが起きたら集落営農の役員や地区を担当する農業委員に真っ先に相談している。

 押切 推進委員になって何をすればいいか分からないという人もいる。こうした人をなくすためには何が必要になると思うか。

 藤田 活動の手順が必要。私の場合は推進委員の活動の流れを自分で作ってみて、それに沿って動くようにした。事務局の方で、推進委員に向けた手続きマニュアルや研修などがあれば、活動しやすくなるのではないか。

 虎澤 自分の集落で誰が農業を担っていくのかという危機感を推進委員自身が感じなくてはならない。推進委員はこの危機的な状況を打開することができる立場だと認識するのが大事なのではないか。

 稲垣 農地利用の最適化のために必要と考える提案や要望を教えてほしい。

 藤田 地域農家の現状を把握して、寄り添っていくのが最も大事。推進委員が本格的に活動するためには、1筆ごとの地主と耕作者の名簿、面積や地目などを記した地籍図が必要。農業委員会と市の農政担当部局との窓口の一元化なども検討してもらいたい。相続未登記農地では新しい制度ができるが、貸借と同時に土地改良もできるようにしてほしい。相対契約から中間機構へと切り替えてもらう場合の担い手へのメリット措置もお願いしたい。

 虎澤 土地持ち非農家がすごい勢いで増えていて、相続人へ連絡が取れないことも多い。例えば、耕作者が1人いる場合はその農地は分割できないというようなことができないか。優良農地だけでも施策で網をかけないと、本当に現場では農地がばらばらになってしまっている。

 西山 中山間の地区の農地を自分たちで守りながら、若い人を取り込み、後継者を育てていくというこれまでの活動を継続していきたい。そのためには、中山間地域等直接支払や多面的機能支払などの交付金が引き続き必要だ。

 大澤 皆さんの話や要望を聞かせてもらえて本当によかった。推進委員全体としてはまだよちよち歩きなところもあると思うが、われわれとしても少しでも推進委員が動きやすくなるように改善をしていきたい。皆さんには引き続き頑張ってもらい、次に続く推進委員を育ててもらいたい。

・藤田恒男(茨城県桜川市農業委員会)
・虎澤栄三(新潟市中央農業委員会)
・西山 勉(香川県三豊市農業委員会)
・大澤 誠(農水省経営局長)
・田正一(同大臣官房参事官・経営局)
・押切光弘(同経営局農地政策課長)
・柚木茂夫(全国農業会議所専務理事)
・稲垣照哉(同農地・組織対策部長)

 [2018-3-23]