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国境の島で「夢ある農業」実現 沖縄・南大東村農業委員会 儀間勉会長

 沖縄本島から約360キロ離れた離島の村、沖縄県南大東村では、サトウキビ栽培を中心とした農業が営まれている。多くの離島では過疎化や高齢化により、農業後継者不足に直面して久しい。そのような中、南大東村では意欲ある後継者を確保し、村内全ての農地が耕作されている。「夢のある農業を実現するため、何をしたらいいか考え、実行してきた結果」と同村農業委員会の儀間勉会長(61)は胸を張る。
 夢のある農業を現実的な言葉で言い換えると「生計が立てられる農業」だ。村ではサトウキビ栽培の規模拡大に取り組んできた。大規模化を実現した原動力は、全国に先駆けて推進したサトウキビ栽培の機械化だ。昭和50年代、人手不足を乗り切るために手製の農業機械を導入したのが転換点になった。村内のサトウキビは全て島にある製糖工場に出荷され、製糖原料に加工して島外に出荷される。売り先が確保され、国の甘味資源作物に対する支援措置も受けられるのが強みだ。
 同村には高校がない。中学校を卒業すると一度は島を離れ、高校などに進学する。農業後継者として再び島に呼び戻すためには「魅力」が必要だと儀間会長は話す。
 農業委員会では離農希望者から依頼があれば、耕作者をあっせんしている。最近では、農地中間管理事業も活用している。2016年度は同事業により、村が設定した目標を上回る約5.85ヘクタールの集積を達成した。
 通常、同事業では10年以上の利用権が設定されることが多い。その理由の一つは、農地の出し手に対する支援措置を受けられるからだ。しかし、村では島外に住む後継者が戻るタイミングを見つけやすいよう利用権設定期間は5年としている。「島に戻って就農する夢はある」ものの「戻る場所がない」とならないための配慮だ。農地の出し手からは、離島など一定の要件を満たせば、5年でも支援措置が受けられるようにしてほしいとの声が上がっている。
 国境の島である南大東島。「サトウキビは島を守り、島は国土を守る」が農業者の合言葉だ。夢のある農業を続けていく心の支えになっている。

写真上=島の将来について熱く語る儀間会長

写真下=大型ハーベスタによるサトウキビの収穫作業

 [2018-5-11]