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経営継承対策 計画的な継承への取り組み期待

 農業の経営継承対策が変わった。2018年度は農業経営継承事業の名称が消え、農の雇用事業の中に「新法人設立支援タイプ」を新設。新たな農業法人の設立を伴う経営継承に政策支援を重点化した。結果、経営の移譲希望者と継承希望者の仲介が期待されるコーディネート活動も新法人を設立する場合に限定して実施する。一方、個人経営を第三者が引き継ぐ従来の経営継承事業は今後、農の雇用事業・雇用就農者育成タイプの中で実施を促す。農村現場への早急な周知が必要だ。
 農研機構・中央農業研究センターがまとめた農林業センサスの分析結果によると、家族経営全体の世代交代(=経営継承)の時期は平均で76歳、専業的家族経営では67歳だった。一方、厚労省が発表した2016年の健康寿命(推計値)は男性72.14歳、女性74.79歳だ。双方のデータを見ると、多くの家族経営では、経営主の健康寿命と世代交代の時期がほぼ重なっていることが分かる。
 農研機構の分析では、65歳未満の経営主が大規模層を中心に「計画的世代交代」を進めているのに対し、65歳以上の経営主は体力的な理由などで「消極的世代交代」となる傾向が強いことも明らかになった。世代交代を強いられる経営主への支援が重要となる。
 農水省は2018年度予算で、都道府県段階に経営全般に関する相談窓口を設置する。ここでは、課題別に税理士や社会保険労務士などの専門家のアドバイスを受けられるのがメリットだ。当然、経営継承の問題にも応えていくので、相談窓口から農の雇用事業への誘導も可能となる。
 しかし、政策効果を上げるためには農家の努力も必要だ。経営主が「まだ仕事ができる」うちに検討を始めることが経営継承の最善策といえる。経営規模が縮小傾向になってからでは遅い。農家には計画的な経営継承への取り組みを期待したい。

 [2018-5-11]