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都市農地貸借法 都市農地の維持・保全にも重要

 今通常国会に農水省は9本の法案を提出している。11日には所有者不明農地の貸借を促すとともに、一定の要件を満たす全面コンクリート張りの農業用ハウスの底地を農地とみなす「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案」が成立したが、会期末まであと1カ月となる中、まだ多くの法案が残されている。
 農地・農業委員会関係で残されている法案は、「都市農地の貸借の円滑化に関する法律案」だ。同法案は、生産物の一定割合を地元直売所などで販売したり、都市住民に農作業体験を提供するなど、都市農業の持つ多面的機能を発揮する取り組みを行うことを要件に、農地法の法定更新などが適用されない仕組みで、生産緑地の貸借を可能とするもの。貸借しても相続税納税猶予の適用は継続される。
 この制度を活用すれば、都市農地の貸借だけでなく、これまでは「生産は個人、販売は法人」で行ってこざるを得なかった都市農業経営の法人化が可能となる。相続問題などで困難に直面することも多かった都市農業の経営継承もやりやすくなるだろうし、後継者の新たな経営スタイル、ビジネスモデルの夢も広がるだろう。これまで農業経営の法人化を推進してきた農業委員会組織の役割も重要になる。
 一方、2022年には生産緑地の約8割が指定から30年を経過し、いつでも買取申出(≒転用)が可能となることから、ビジネスチャンスと捉えた不動産・建設業界からの注目も高い。自ら農業経営が困難となった都市農地の所有者が農地を維持・保全していくためにも同法案は重要だ。
 同法案は参議院先議により4月6日の参議院本会議で全会一致で可決されたものの、衆議院における残された法案の審議日程は非常にタイトで、審議の見通しが立っていないのが実情だ。「都市農業振興基本法」(2014年に成立)同様、全会一致での今国会での成立を期待したい。

 [2018-5-18]