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被災農業者向け農の雇用事業 被災農業者の就業の場を守れ

 平成30年7月豪雨から間もなく2カ月を迎える。農業関係の被害は農作物や農地、農業用施設などを中心に1528億5千万円に上る(14日時点)。復旧の長期化が見込まれる中、生産現場にはきめ細かな支援が必要だ。
 一つは被災した農業者、つまり「人」に対する支援。経営者を含めた農業従事者の就業の場を確保することが大きな課題ではないか。雇用型農業経営が増加する中、営農が復旧するまで十分な収入が得られなければ、従業員を解雇せざるを得ない事態に陥る可能性がある。そこで、農水省は被災農業者の就業の場を確保するため、熊本地震の際に創設した「被災農業者向け農の雇用事業」をこの豪雨災害にも適用させた。
 事業は被災した農業者を他の農業法人などが一時的に雇用して研修を行った場合、受け入れた農業法人などに1人当たり年間最大120万円の助成金を最長2年間交付するという内容だ。これは通常の農の雇用事業と違い、年齢制限や定着率を気にする必要がないため比較的使いやすい。
 また、農の雇用事業には「次世代経営者育成派遣研修タイプ」というメニューがある。これは次世代の幹部候補者を他社へ派遣し、新たな技術やノウハウを習得させるものだ。研修生はその技術などを自社へフィードバックするとともに、自らがその分野の責任者などになる。派遣研修の期間は3カ月以上2年以内。災害対応では自社が災害から復旧する間に他社で研修ができるため、雇用の確保と新技術の取得に期待が持てる。このメニューも1人当たり年間最大120万円が派遣元の農業法人などに交付される。
 今後は被災現場への徹底した周知活動が急務となるが、事の成否は被災農業者と受け入れ農業法人などの意向をいかに結び付けるかだ。
 支援策を絵に描いた餅にしてはいけない。関係機関・団体の密接な連携に期待する。

 [2018-8-24]