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縞葉枯病に強い発酵粗飼料用イネ新品種「つきすずか」〜「たちすずか」の長所を受け継ぎ、欠点を改良〜

 イネWCSは、茎葉を含めた地上部全体を収穫しサイレージに調製した飼料であり、水田を有効活用できるイネの利用法として注目されている。しかし、イネの籾は牛の消化性が悪く、そのまま排せつされる割合が高いため、栄養の損失が問題となる。また、イネWCSの調製には乳酸菌のエネルギー源となる糖が必要であるが、籾を多く着ける従来品種ではイネの糖含有率が低いことも問題となる。
 農研機構では2010年に、穂が小さく茎葉に比べて籾の割合が極めて小さい品種「たちすずか」を育成した。糖含有率が高く発酵性が優れ、良質のイネWCSが生産できることから、イネWCS専用品種として関東以西の広い地域で普及が進んでいる。一方、たちすずかは縞葉枯病に弱いため、縞葉枯病が発生しやすい稲麦二毛作地帯である北関東などでの栽培では、農薬使用が必須で、生産コスト上の問題となっていた。また、農薬の苗箱施用を行っても生育後期には発病が認められる事例があり、栽培が困難であった。そこで、たちすずかの優れた特性を持ちながら、縞葉枯病に対する抵抗性を合わせ持つイネWCS用品種「つきすずか」を2016年に育成した。

写真説明=各種の穂相と草姿。(左)「たちすずか」、(中)「つきすずか」、(右)「タチアオバ」(従来品種)

 [2018-9-28]