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経済成長と農業 気象変動対応、技術革新に支援を

 京都大学の本庶佑特別教授の医学生理学賞受賞に始まった今年のノーベル賞。最終発表の経済学賞は、米国のウィリアム・ノードハウス米エール大教授とポール・ローマー米ニューヨーク大教授の2人が受賞した。経済成長に気候変動と技術革新の要素を組み込んだ研究が評価された。
 ノードハウス教授は、温暖化ガスの排出に課税する炭素税の提唱者であり、地球温暖化による異常気象や生態系への深刻な影響を警告する国連機関の理論的支柱でもある。
 ローマー教授は、技術革新から生まれる知識やアイデアの蓄積が経済成長に重要な役割を果たす理論を提唱した。
 創設50周年の節目を迎えた経済学賞には、選考したスウェーデン王立科学アカデミーの世界へのメッセージが込められている。気象変動への対応と技術革新の推進による世界経済の持続可能で長期的な成長を支える手法の構築だ。京都議定書離脱、貿易摩擦も辞さない大国米国の身勝手な短期的経済成長路線への警鐘も含むとの見方もあり、受賞者2人も記者会見でトランプ政権の政策運営を批判した。
 地球温暖化の影響と見られる豪雨災害や作物の高温障害などの被害が顕在化しているわが国の農業分野では、気象変動への対応と技術革新の推進がすでに始まっている。
 施設園芸における省エネルギー設備の導入や高温耐性品種の開発、ロボット技術や人工知能(IT)、情報通信技術(ICT)を活用して省力化や精密化を実現するスマート農業の推進などの取り組みが加速している。
 農業の発展を経済の成長戦略に位置づける政府は、地道な技術開発研究に対する十分な予算確保と支援を強化すべきだ。長期的な成長を実現する世界経済のモデルにもなり得る可能性を秘めている。
 最後に一言。米国との貿易交渉が始まるが、政府には長期的視点に立った毅然(きぜん)とした対応を期待する。

 [2018-10-19]