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鳥獣害対策

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猪 縁起物?いえいえ 農家には厄介者 被害を防ぐには? 捕獲個体どう活用?

 干支(えと)は縁起物とはいうものの、猪は農家にとって時に厄介者だ。2017年度の猪による農作物被害額は約48億円に及ぶ。こうした被害を確実に防ぐには? 捕獲個体をうまく活用するには? そもそも猪ってどんな動物? 亥(い)年の今年、猪にスポットを当ててみる。

 適切な対策のために、まずは相手を知ることが肝心。「人が見ていないときの素顔を探り、動物の目線になると防除のポイントが見えてくる」と、農研機構・西日本農業研究センターの鳥獣害対策技術グループ長・江口祐輔さんは話す。
 猪は雑食で、山ではタケノコやドングリ、植物の葉や根、虫などを食べる。被害に遭う農作物は稲や麦類、根菜類、豆類、果実、トウモロコシ、カボチャなど幅広い。人目を避けて日没後に行動することが多く夜行性と勘違いされがちだが、人がいなければ明るい時間でも出没する。
 雌は年1回、春に平均4〜5頭の子供を産む。高栄養の餌で飼育しても、出産回数や産子数は野生と差がない。しかし出産に失敗したり産んで間もなく子供を亡くしたりすると再び発情し、秋にも出産することがある。捕獲しやすい子供ばかり捕まえると、かえって出産回数が増える恐れがあるので要注意だ。
 猪の武器は鼻で、地面を掘ったり物の感触を確かめたりと器用に使い、嗅覚は犬並みといわれる。侮ってはいけないのが鼻先の力。大人は60〜70キロの物を押し上げるほど力が強い。
 跳躍力も優れ、大人は1メートルほど、子供でも60〜70センチの障害物を助走なしで跳び越えることができる。ただ、脚を負傷したら命に関わるため、人から逃げる時などの緊急事態を除き、柵などは可能な限り跳ぶよりもくぐり抜けようとする。
 こうした行動特性を踏まえると、柵を設置する際にまず重視すべきなのが潜り込みやこじ開け対策。ワイヤメッシュ柵は接地面をパイプなどで補強し、トタン板の柵は接地面や板どうしの間に隙間ができないよう固定するなどの手がある。
 電気柵を使う場合、剛毛には電気がほぼ通用しないので、鼻や口で通電線に触れさせなければならない。猪に対しては地面から20センチ・40センチの高さで通電線を張るのが最も効果が高い。人の目線では低いが猪にとっては物理的に無視できない高さなので、鼻で調べるように誘導しやすい。

写真説明=昨年11月に猪料理のカフェをオープンした渡邉秀典さん。妻の早紀子さんとともに営む

 [2019-1-1]