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日EU・EPA 間もなく発効、影響分析と対策を

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が2月1日に発効する。日本は農林水産分野で82%の関税を撤廃。EU側の関心が高いソフト系チーズでは3万1千トンまでの枠を設け、段階的に関税を削減・撤廃する。牛肉は38.5%の関税を16年目に9%まで下げる。すでに発効した環太平洋連携協定(TPP11)も相まって、日本農業はかつてない市場開放にさらされる。
 農水省は日EU・EPAで日本の農業生産額が600億〜1100億円減ると試算しているが、実際の影響は試算以上になる可能性が高いと指摘する専門家もいる。日本大学の小林信一教授は、本紙への寄稿で「畜産への影響は大きい」とし、特に国産チーズ、牛肉、豚肉が受ける打撃に懸念を示した(1日付3面)。これほどの大型協定であるにもかかわらず、先の臨時国会では審議時間が衆参両院合わせてわずか9時間にとどまったことは残念と言わざるを得ない。
 本紙は昨年12月14日付、21日付1面で「日EU・EPAの影響」と題し、日本ワインとチーズの生産現場に焦点を当てた。取材を通じて関係者から伝わってきたのは“困惑”だ。将来どのような影響が出てくるのか、具体的にイメージできずに身構えている様子だった。政府には引き続き、生産現場の不安払拭に努めるようお願いしたい。
 今後は、品目別輸入数量の動向などに注意を払いつつ、国内生産への影響を見極めなければならない。その上で、生産者が将来に希望を持って持続的に農業に取り組んでいけるように、必要となる対策をしっかりと講じていくことが肝要となる。その際は予算規模が先細りしないように、法制化を含めた恒久的な仕組みまで視野に入れるべきだ。
 日本の「農と食」を守ることは、国民の命を守ることにほかならない。国としての確固とした姿勢が問われている。

 [2019-1-25]