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AI技術と農業 果敢な挑戦に一層の支援強化を

 人工知能(AI)の発達が著しい。音声操作できる家電が一般家庭に広がり始め、車の自動運転も実用間近だ。AIは社会の隅々まで入り込み、生活様式を変えつつある。
 農業へのAI技術の導入は、情報通信技術やロボット技術とともに、先端技術を活用したスマート農業として推進されている。AIのデータ解析成果を農業機械などに組み込んだ無人ロボット収穫機の開発、篤農家の熟練技術の継承、農作物の生育管理や病害虫被害の正確な予測などで、一部は実用段階にある。
 スマート農業は、超省力・高品質生産、きつい危険な作業からの解放、経営の規模拡大と管理の高度化などを目指す新たな農業。日本農業の担い手の減少と高齢化を打破する切り札と目されている。
 平成が間もなく幕を閉じる。時代の変わり目に、もう少しAI技術と農業について思いを巡らしてみたい。AIはディープラーニング(深層学習)も取り入れて進化を続ける。人間の代替頭脳づくりの限界への挑戦でもある。
 AI技術は同時通訳会話や高精度医療診断も視野に入れ、生活にさらなる快適と安心をもたらす勢いだ。一方で雇用喪失や情報悪用、兵器開発が不安や苦痛、悲嘆をもたらすかもしれない。ドイツの文豪ゲーテの言を借りれば「強い光は強い影をつくる」。AIを創造した人間自身による影面の制御が不可欠だ。
 生命産業である農業へのAI技術の活用は「強い光」だ。高品質農産物の増産や安定供給を可能とし、代替頭脳が創造者である人間の存在と社会の存続を約束する最も理性的な成果となるからだ。
 農水省が来年度から実施するスマート農業の実証公募事業に、多くの農家らからの応募があったと聞く。先端技術の活用に気概を持って果敢に挑戦できるよう、国には一層の支援強化を望みたい。次代の扉の向こうにある希望の芽を明るく照らすことだろう。

 [2019-2-22]